◆自分を取り巻くすべてのものに対して敵意をむき出しにして生きてきたヒロインが、その感情のすべてをピアノに叩きつける。ほとばしる激情と悲しみに満ちた美しさが同居する破壊的かつ爆発的な演奏に、しばらくは言葉を失った。(90点)
憤怒、憎悪、不満、自分を取り巻くすべてのものに対して敵意をむき出しにして生きてきたヒロインが、その感情のすべてをピアノに叩きつける。鍵盤だけでなく弦を爪弾きカバーでリズムを取り、椅子を蹴り飛ばしステップを踏む。そこから生み出される音楽はクラシックや前衛といったジャンルを超越した魂の叫び。ほとばしるような激情と悲しみに満ちた美しさが同居する破壊的かつ爆発的な演奏だ。そして最後に彼女を受け止めてくれた老女に対する感謝の気持ち。傷ついた心と心がぶつかり合った末に生まれた至高の芸術に、しばらくは言葉を失った。