世紀末東京のカタストロフィの、ディテールに凝ったビジュアルに目を見張る。そのパイパーリアルな映像は炎や煙、瓦礫の飛び散る方向に至るまで緻密な計算で再現されていて、その情報量は人間の視覚では処理できないほどだ。(40点)
まだ新宿近辺にも原っぱがあった高度経済成長期から、バブル後遺症に苦しみながらも物質的には豊かな生活を享受していた1997年、そして世紀末東京のカタストロフィまで、ディテールに凝ったビジュアルに目を見張る。特に羽田空港や国会議事堂の爆破、巨大ロボットによる街の破壊などのパイパーリアルな映像は炎や煙、瓦礫の飛び散る方向に至るまで緻密な計算で再現されていて、その情報量は人間の視覚では処理できないほどだ。しかし、そこで描かれる物語はやたらに時系列が前後する上に登場人物の人間関係が複雑に絡み合い、間延びしたエピソードが映画のテンポを殺いでいる。
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全24巻の原作漫画をどう削ぎ落としていくかが見もの(50点)
不気味さが漂うSF冒険サスペンスで全3部作の第1作。コンビニを経営するケンヂは少年時代に遊びで作った“よげんの書” が現実化していることを知り、仲間とともに謎の黒幕“ともだち”を追うことに。全24巻の原作漫画をどう削ぎ落としていくかが見ものだ。映画は、物語の3分の1を観ただけで評価できる段階ではないが、昭和のレトロな雰囲気と冒険が始まるワクワク感は伝わってくる。さえない中年男が、人類滅亡を阻止し地球を救うというギャップが面白い。数多い登場人物の中でオッチョ役の豊川悦司が最も印象的だ。本編の後に予告があるので最後まで鑑賞を。
浦沢直樹の2000万部コミックが超大作3部作に(35点)
© 1999, 2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 © 2008 映画「20世紀少年」製作委員会
浦沢直樹のベストセラーコミック『20世紀少年』の映画化は、2008年?09年の日本映画界最大のインパクトとして、製作前から話題を振りまいてきた。
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