◆是非、観ていただきたい!!(90点)
いい。
本当にいい映画だと思います。
「踊る大捜査線」のスタッフが社会派に挑戦(70点)
「踊る大捜査線」のミーハーな客層に、社会派映画ぽいものを見せる。『誰も守ってくれない』が挑んだコンセプトはえらく大胆で、そしてほぼ成功している。
平和な日常が突如として崩れていく。自由と名前が勝手に奪われ、犯人の家族だという理由で世間からは断罪され、親子はバラバラになっていく。当事者たちが感じる現実感を伴わないまま周囲に流されていく感覚が非常にリアルだ。(80点)
平和な日常が突如として崩れていく。原因は自分にあるわけではないのに、自由と名前が奪われ、人生が暗転する。そして犯人の家族だというだけで世間からは断罪され、親子はバラバラになっていく。当事者たちが感じる現実感を伴わないまま周囲に流されていく感覚がリアルだ。映画は殺人犯の兄を持った少女がマスコミとネット社会による執拗な追跡を受ける過程を通じて、やり場のない怒りを鎮める方法を模索する。加害者は法廷で裁ける。しかし、その肉親に対してはどこまで責任を追及すべきなのだろうか。
ラストに甘さはあるが、それは作品の魅力になっている(70点)
犯罪に係わる人間を描く秀作だが、何よりその視点がユニーク。殺人犯の妹の、15歳の少女・沙織を保護する刑事・勝浦は、彼女を世間やマスコミから守るためマニュアルに従い逃避行を続ける。警察が犯罪者の家族を保護するというあまり知られていない行為を通して、社会の矛盾をつきつけてくる。現代性を注入するのが悪意に満ちたネットの暴走だ。過去の事件で心に傷を負った刑事役の佐藤浩市はいつも通り芸達者だが、珍しく普通の脇役を演じる松田龍平もいい。被害者を守りきれなかった警察が、加害者の家族は守るのかとの問いも、重い問題提起だ。ラストに甘さはあるが、それは作品の魅力になっている。懸命に生きると決めた二人を応援したくなるはずだ。