© 2010「苦い蜜」製作委員会
◆物語で印象的なのは、故意に真実を隠したりねじまげたりした人物の作為より、目の前の情報に踊らされ、確かめもせず一人の人間を犯人扱いしてしまう集団心理の恐ろしさ(60点)
ビートルズファンにはたまらないミステリーだが、ビートルズの楽曲のメロディや歌詞はさほど重要なアイテムではないのが意外だ。ビートルズ・バー「リボルバー」のオープニング・パーティの最中に、稀少版オリジナルLPレコードが紛失する事件が起こる。同じレコードを偶然持っていた柚木が犯人とされたのだが、その後柚木は死亡する。1年後、常連客が集まるリボルバーに、柚木の友人で、探偵の三影が現われ、事件の真相を解明しようと提案するが…。
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◆歯切れのいいセリフの応酬から浮かび上がるお互いの主張の矛盾、暴かれていく秘密と嘘。過去が煮詰まっていく過程で、己をさらけ出す開放感が登場人物の心を浄化していく様子は、空が晴れわたるようなさわやかさをもたらす。(60点)
限定された狭い空間で繰り広げられる十数人による会話劇は、中劇場の一幕芝居を見ているよう。歯切れのいいセリフの応酬から浮かび上がるお互いの主張の矛盾、暴かれていく秘密と嘘。過去が煮詰まっていく過程でおのおの本性が明らかになっていく。それは嫉妬や怒り、疑いといった負の感情ではなく、他人を信じてみようというささやかな希望。正直に己をさらけ出して得られる開放感が登場人物の心を浄化していく様子は、雲が切れ空が晴れわたるようなさわやかさをもたらす。真実を告白することでしか人は救われないのだ。
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