意図不明な配役に疑問が残る(50点)
野坂昭如の原作は、かつて高畑勲監督によってアニメ映画化された名作があり、今回の実写版との比較は避けられない。物語は戦争の過酷な運命の中で生きた幼い兄妹の悲劇を描くものだ。反戦の意図は伝わるが、母親役を松田聖子にするなど、意図不明な配役に疑問が残る。幸薄い子供が餓死する話は高畑アニメを鑑賞した後、2度と見たくないと思ったほど鮮烈で悲しい内容。生々しい実写よりアニメの方がありがたい。
意図不明な配役に疑問が残る(50点)
野坂昭如の原作は、かつて高畑勲監督によってアニメ映画化された名作があり、今回の実写版との比較は避けられない。物語は戦争の過酷な運命の中で生きた幼い兄妹の悲劇を描くものだ。反戦の意図は伝わるが、母親役を松田聖子にするなど、意図不明な配役に疑問が残る。幸薄い子供が餓死する話は高畑アニメを鑑賞した後、2度と見たくないと思ったほど鮮烈で悲しい内容。生々しい実写よりアニメの方がありがたい。
両親も住む家も奪われた少年と幼い妹。空襲で黒焦げになった死体を片付けるシーンに戦争の記憶がリアルに再現される。映画は人間の命など蛍の光ほどに儚いものであるという現実を反映し、孤児となった少年の感情を繊細に描く。(70点)
両親も住む家もすべての財産も戦争に奪われてしまった少年と幼い妹。日本人全員、生きていくことに精一杯だった時代に、2人の面倒を見てくれる大人はなく、行き場を失った兄妹は運命に押しつぶされる。空襲で身近な人が死に、黒焦げになった死体を片付けるシーンに、もはや遠くなりつつある戦争の記憶がリアルに再現される。飢えだけでなく死もすぐそばにあったのだ。映画は人間の命など蛍の光ほどに儚いものであるという現実を反映し、孤児となった少年の感情を繊細に描く。
あのトラウマ作『火垂るの墓』が実写映画化(30点)
作家・野坂昭如が自身の戦争体験を生かした小説『火垂るの墓』は、何といってもスタジオジブリのアニメ化版(高畑勲監督)の印象が強い。のどかな『となりのトトロ』と同時上映し、子供たちとファミリーに強烈なショックを与えたのみならず、毎夏のようにテレビ放映してトラウマを呼び起こしているのだからそれも当然。多くの人が言うように、一番泣ける映画にして二度と見たくない映画。今回は実写映画となって、再度日本人の心を直撃する。
◆自然体のイメージで本作を表現(75点)
野坂昭如の高名な原作が今から20年前にアニメ映画化され、多くの人々を涙させ、感動させた。その後、2005年には単発TVドラマ化され、そして今回は実写映画として三度目の映像化となった。