良妻賢母養成所のような女子高にやってきたヒロインが伝統を大切にする学校側と対立、その過程でおとなしかった彼女の同調者たちは初めて自我に目覚めていく。ところが、クリアしなければならない障害が余りにも低く拍子抜けだ。(40点)
© 「櫻の園」製作委員会
礼儀正しく先生の言うことは絶対服従。純粋培養された育ちのよい女子ばかりが集う良妻賢母養成所のような女子高にやってきた転校生。息苦しさを感じながらもなんとか在籍した痕跡を残したいと思っている。そんなヒロインが偶然手に入れた「禁断の戯曲」の上演をめぐって伝統を大切にする学校側と対立、その過程でおとなしかった彼女の同調者たちは初めて「自分たちで考えて自分たちで決める」ことを覚えていく。ところが、クリアしなければならない障害が余りにも低く、先生たちも物分りがよくて拍子抜け。もっと彼女たちが芝居に情熱的に打ち込み、達成感を得られる構成にしてもよかったのではないか。
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オリジナルとはまったく異なる物語(60点)
© 「櫻の園」製作委員会
中原俊監督のセルフ・リメイクだがオリジナルとはまったく異なる物語になっているので、むしろ続編や姉妹編という趣。名門女子高の演劇部で禁止された演目「櫻の園」の上演に情熱を傾ける女子高生たちを描く青春映画だ。女子高という独特の異世界の雰囲気を巧みに描く中原監督の手腕は、繊細でいながら結構タフな21世紀の少女たちを主人公にしても変わらず発揮されている。映画初主演の美少女・福田沙紀はアイドル顔だが声がカマトトじゃないところがいい。ついに上演のとき、伝統や自分の殻を破って一歩前に足を踏み出す少女たちの顔は文字通り輝いていた。
中原俊監督が最高傑作「櫻の園」を自らの手でリメイク(65点)
© 「櫻の園」製作委員会
芸能事務所のオスカープロモーションが本格的に映画参入するにあたり、幾多の企画から選んだのが中原俊監督『櫻の園』(90年)のセルフリメイクであった。担当者の中にきっとあの作品の熱烈なファンがいたのだろうと思うとちょっとおかしいが、さすがはアイドル育成のプロたち。日本の青春映画屈指の傑作に目を付けるとは、さすが侮れない。
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