◆自分の過去に向き合い、後悔してもそれを口に出して言えない男の旅は、観客に生きる難しさを教える(60点)
海外の映画祭でも評価が高い小林政広監督の新作は、祖父と孫が一緒に旅をするロードムービーだ。北海道に住む、元漁師の忠男は、失業したため東京に働きに出ると言う18歳の孫娘・春と共に親族を訪ねる旅に出る。目的は忠男の生活の面倒を見てもらうこと。二人は今まで疎遠だった親類縁者を訪ねるが、そこには厳しい現実があった。頑固者な上に足が不自由なため春に頼って生きてきた忠男と、父母のいない春は、今まで避けてきた家族という存在に否応なく向き合うことになる…。