◆どこか物足りなさを感じる(55点)
ゆくえが分からなくなった恋人シュシュ(シュー・ジンレイ)を探すために、日本へ密入国した中国人の鉄頭(ジャッキー・チェン)は、新宿歌舞伎町で同じく不法滞在する同胞たちと一緒にアジト暮らしを始める。不法滞在者ゆえに精神的にも経済的にも苦しい状況を強いらるが、ある日、ヤクザの江口(加藤雅也)の横にいた美女に目を奪われる。なんと、その美女は鉄頭が探していたシュシュだった……。
◆どこか物足りなさを感じる(55点)
ゆくえが分からなくなった恋人シュシュ(シュー・ジンレイ)を探すために、日本へ密入国した中国人の鉄頭(ジャッキー・チェン)は、新宿歌舞伎町で同じく不法滞在する同胞たちと一緒にアジト暮らしを始める。不法滞在者ゆえに精神的にも経済的にも苦しい状況を強いらるが、ある日、ヤクザの江口(加藤雅也)の横にいた美女に目を奪われる。なんと、その美女は鉄頭が探していたシュシュだった……。
今までになくノワールなジャッキー・チェン(50点)
今までになくノワールなジャッキー・チェンが見られるが、コミカルで人間味ある彼の演技の長所を考えると、やはりミス・キャスト。歓楽街・歌舞伎町の裏社会を舞台に、行方不明の恋人を探すため中国から密入国した鉄頭が、ヤクザの世界でのしあがる姿を描く。バイオレンス描写がすさまじいが、何よりトレードマークのアクションがほとんどなく、笑顔さえみせないジャッキーにとまどってしまう。物語は、発端である恋人探しがいつのまにか脇に追いやられ裏社会の権力争いが主軸になり、中途半端な印象も。しかもそこに社会性を込めるほどの奥行はない。印象的なのは、無国籍なカオスと化した歌舞伎町の猥雑な空気だ。密入国者がうごめく場所での勢力争いでは誰も信じられない。根はまじめな鉄頭が、歌舞伎町という権力の場でつぶされていく運命が哀しかった。
カンフーもアクションも封印したジャッキー・チェンの代わりに、カメラが裏路地を走りまわる。根は善人なのに、仕方なく人を殺し、生きるためにさらに殺人に手を染める、善悪の狭間で苦悩する主人公をノワールなタッチで描く。(70点)
カンフーも派手なアクションも封印したジャッキー・チェンの代わりに、カメラが裏路地や非常階段そして下水道を走りまわる。黒く濁ってしまった心を象徴するかのような抑えた色調の映像は、新宿歌舞伎町に息をひそめる中国人不法入国者の人生そのもの。根は善人だったのに、逃げるために仕方なく人を殺し、生きるためにさらに殺人に手を染める。悪と手を切ろうとしても、一度足を踏み入れた裏社会に引き戻される。映画は善悪の狭間で板挟みになる主人公の苦悩をノワールなタッチで描ききる。