内戦という中国では扱いにくいテーマに挑んだことを評価したい(65点)
© 2007 Huayi Brothers Media & Co.,Ltd. Media Asia Films(BVI) Ltd. All Rights Reserved.
日中戦争後の内戦を描く中国映画の力作だ。1948年の中国共産党の人民解放軍と国民党軍による国共内戦で、隊長のグーは、自分が退却ラッパを聞き逃したせいで味方が全滅したと悩む。内戦という中国では扱いにくいテーマに挑んだことを評価したいが、物語のバランスが悪い。前半の激しい戦争シーンより、中盤以降の、失踪扱いになった仲間の名誉回復を求めて奮闘するドラマの方が胸に迫るので、こちらに比重を置くべき。戦争の是非ではなく、国に認めてもらうしか心の折り合いがつかない兵士たちの姿に、悲劇がにじむ。彩度を落とした画面の中では役者の顔が判別しにくいが、そのことが、個人より国家を優先する中国の歴史を物語る効果を上げていた。
ただ一人生き残った司令官は、部下の遺骨を回収するために黙々とシャベルを地に突き刺す。映画は、彩度を落とした映像と手持ちカメラで戦場のリアルを再現し、落ち着いた色調で過去を取り戻そうとする男の気持ちを表現する。(60点)
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死にゆく者が感じる肉体の痛みと生き残った者の胸の疼き。銃弾と砲弾が飛び交う前線で、次々と部下の体が引き裂かれ息絶えていくなかでただ一人生き残った司令官は、部下の遺骨を回収するために黙々とシャベルを地に突き刺す。彼を衝き動かすのは撤退の判断を誤った自責の念と、失踪扱いされた部下の名誉を回復したいという思い。映画は、彩度を落とした映像と手持ちカメラの臨場感で戦場のリアルを再現し、落ち着いた色調で過去を取り戻そうとする男の気持ちを表現する。
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◆悔しさと悲しみをにじませる後半の演技が圧巻(85点)
舞台は1948年の中国。人民解放軍と国民党軍の内戦は熾烈を極めていた。最前線にいた人民解放軍の第9連隊は、連隊長グー・ズーティ(チャン・ハンユー)を除く兵士47人が全員戦死。グーは、仲間を死なせたのは、自分が撤退命令の合図であるラッパを聞き逃したせいだと、自責の念にかられていた……。
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