美男美女に異様な表情を演出するなど鬼才ぶりは健在(65点)
© 2008 KIM KI DUK FILM All Rights Reserved
奇妙な設定はキム・ギドクの十八番だが、今回の素材は夢だ。恋人を忘れられない男ジンの見た夢が、夢遊病の女ランの現実に現れることから、二人は夢に翻弄されていく。恋人と別れたという共通点以外、ほとんど説明はないが、夢と現実、男と女が分かちがたく存在する不思議な世界に魅了された。痛みを伴う愛の描写は、以前に比べマイルドなのでありがたいが、美男美女に異様な表情を演出するなど鬼才ぶりは健在。一方が欠けると生きられない二人。だが蝶のオチは少し弱い気も。刻印士という文字を裏側に掘る職業が効果的で、劇中に登場する“白黒同色”の言葉が深い。
愛し合う運命にありながら、生きているうちは結ばれない男女が辿る心の変遷を通じて、愛の本質に迫る。状況の説明は一切なく、ただ登場人物の不思議な体験に身を浸すうちに切なさがこみ上げてくるような映像が深い余韻を残す。(50点)
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別れた恋人が愛おしくてたまらない男の見る夢が、別れた男が憎くてたまらない女の現実となる。肉体は離れているのに、彼らの心はどこかでつながっている。しかし男の幸福が女の不幸となるという事実に、女は傷つき、男はそんな女に責任を感じ眠らないことで償おうとする。最初は訝り罵倒しあいながらも、やがて女は状況を理解する。物語は、愛し合う運命にありながら、生きているうちは結ばれることが叶わない男女が辿る心の変遷を通じて、愛の本質に迫る。状況の説明は一切なく、ただ登場人物の不思議な体験に身を浸すうちに切なさがこみ上げてくるような映像が深い余韻を残す。
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◆作家色を全面に打ち出したアクの強い作品(60点)
深夜、印章彫刻師のジン(オダギリ ジョー)は別れた彼女をクルマで追いかけている途中に、衝突事故を起こす。そのままクルマを走らせると、次は道路に人が飛び出してきて……ハッとした瞬間に目が覚める。夢だった。しかし、胸騒ぎを抑えられず、夢で事故を起こした現場に行ってみると、そこでは実際に事故が起きていた。警察に拘束されたのは、夢遊病患者のラン(イ・ナヨン)という女性だった……。
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