もう少しリアルな工夫がほしかった(50点)
映像と音楽のコラボ企画“シネ・ムジカ”シリーズ最新作で、タイトルは渡辺美里の同名曲から。37歳・独身の岩津は、謎の少女・カナにより理由もわからず故郷の神戸まで連れて行かれ、自分の過去と対面することに。胸の奥に封印していた初恋とその苦い顛末は、主人公に今の生き方の是非を問うもの。秘密を抱えた少女役の寺島咲の透きとおるような存在は、ファンタジックな物語にフィットしている。だが、抜けた日記や8mmの設定には、もう少しリアルな工夫がほしかった。寺脇康文は、悪人ではないが逃げ腰の中年男という、世の中に最も多いタイプを自然体で好演している。