◆演出にキレがある訳でもなく、ドラマ展開も冗長気味。汁系のユーモアに至っては完全にマニア好みだ。しかし同時に、息づかいと生命力が感じられる作品でもある(70点)
弱冠26歳の映画監督、石井裕也。「ぴあフィルムフェスティバル」のコンペティション第29回PFFで「剥き出しニッポン」がグランプリを受賞、アジアでは「第1回エドワード・ヤン記念 アジア新人監督大賞」を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている注目の才能だ。
◆演出にキレがある訳でもなく、ドラマ展開も冗長気味。汁系のユーモアに至っては完全にマニア好みだ。しかし同時に、息づかいと生命力が感じられる作品でもある(70点)
弱冠26歳の映画監督、石井裕也。「ぴあフィルムフェスティバル」のコンペティション第29回PFFで「剥き出しニッポン」がグランプリを受賞、アジアでは「第1回エドワード・ヤン記念 アジア新人監督大賞」を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている注目の才能だ。
◆希望が持てない今の世の中で、どうやって頑張ればいいのか。その問いに、実に痛快な答えを出してくれるコメディーの秀作。主人公を演じた満島ひかりが素晴らしい(82点)
槇原敬之は「世界に一つだけの花」で、ナンバーワンにならなくても、オンリーワンになればいい、という意味のことを歌っている。名曲だとは思うが、私はこの歌が好きではない。自分も含めて多くの人は、所詮、ナンバーワンにもオンリーワンにもなれないと思うからだ。「オンリーワン」といえるようなものを持っている人が、果たしてどれだけいるのだろうか。
◆「私なんてどうせ中の下の女ですから」と、己を過小評価するヒロイン。誇れる過去もなく、現在に不平はないが希望もなく、未来の夢もない。まるで不景気にさらされている現代社会の先行き不透明性を体現しているかのようだ。(60点)
「私なんてどうせ中の下の女ですから」と、己を過小評価するヒロイン。誇れる過去もなく、現在に不平はないが希望もなく、未来の夢もない。まるで不景気にさらされている現代社会の先行き不透明性を体現しているかのようだ。そんな、何をやっても大した成果は上げられず、早くも人生が諦めモードに入っている彼女の日常と思考法がリアルだ。今より向上は望まないけれど、とりあえず生活に不自由しない収入を得てあとはだらだらと日々を過ごせればいいという、今風な若者の空気が彼女の言動に濃密に凝縮されている。