被爆者の心と体の消えない傷を、何気ない日常の中で描く新感覚の原爆映画。どこかの政治家に「しょうがなかった」なんて絶対に言わせない!(80点)
昭和33年の広島。皆実(みなみ)は原爆で生き残ったことに負い目を感じながらも同僚からの愛を受け入れようとする。それから半世紀後、現代の東京で暮らす皆実の姪の七波(ななみ)は、挙動不審の父を追って広島へと旅をする。2つの物語でつづる被爆者の悲しみと生きる希望とは…。
被爆者の心と体の消えない傷を、何気ない日常の中で描く新感覚の原爆映画。どこかの政治家に「しょうがなかった」なんて絶対に言わせない!(80点)
昭和33年の広島。皆実(みなみ)は原爆で生き残ったことに負い目を感じながらも同僚からの愛を受け入れようとする。それから半世紀後、現代の東京で暮らす皆実の姪の七波(ななみ)は、挙動不審の父を追って広島へと旅をする。2つの物語でつづる被爆者の悲しみと生きる希望とは…。
◆生き残った者は体にケロイドの痕を残し、心に自責の念を抱き続ける。戦後13年、あえて原爆がなかったことのように口にせず、復興の夢を見ながら生きているヒロインに、自分が幸せになってはいけないという思いがのしかかる。(70点)
生き残った者は体にケロイドの痕を残し、心に自責の念を抱き続ける。戦後13年、あえて原爆がなかったことのように口にせず、復興の夢を見ながら生きている広島の人々。言葉にすると自分や自分の知り合いが後遺症で倒れるのではという不安。時としてそれは現実となる。貧しいながらも平和を取り戻した日常、それでも戦争の傷跡はいつまでも消えず、生々しい記憶に口をつぐんでしまう。さらに、命拾いした自分が幸せになってはいけないという、死んでしまったものに対する思いがのしかかる。
田中麗奈の自然体演技が作品の質を高めた(65点)
夏になると戦争関連の映画が増えてくるが、原爆とその傷跡をテーマのひとつとしたこの『夕凪の街 桜の国』は、試写を見た周辺の映画関係者の評判がすこぶる高かったので、私も個人的に気になっていた。