孤独な男女の恋を取り持つ物語(55点)
作品は素朴で未熟。それでも優しい気持ちになれるのは、少女の愛らしい笑顔のおかげだ。ストリートで生きる孤児トゥイが、孤独な男女の恋を取り持つ物語である。子供たちのたくましさが印象的だが、ストーリー展開はご都合主義で穴が多い。夢見がちで明るく、それでいてたくましい少女の幸せは、大人とは別のところにある気がするのだが、結局は大人が考える子供の幸せに落ち着くのが残念だ。ベトナムと米国のハーフの監督は、安易に観光名所を映さず、ホーチミンの雑多な街の空気を巧みにすくい取っている。
◆かりそめのベトナム観光を疑似体験できる(80点)
10歳の少女トゥイ(ファム・テイ・ハン)は両親を亡くして以来、叔父が経営するすだれ製造工場で働きながら暮らしている。だが、仕事のミスで叔父にキレられることに嫌気がさし、家出する。辿り着いたホーチミンの街で、知り合ったフーティウ店の少年の紹介でバラの花束売りの仕事をすることになったトゥイは、誰も知らない人たちばかりのこの街で客室乗務員のラン(カット・リー)と、動物園の飼育係担当の青年ハイ(レー・テー・ルー)に出会う。トゥイは、三人で暮らすことを願って二人を引き合わせるのだが……。
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