兄弟同然の2人がなぜ激動の波に飲まれていったか。理性では割り切れない微妙な感情の動きを丁寧に掬い上げてエピソードを積み重ね、大人の事情を理解し始めた年頃の少年の、硬いが傷つきやすい繊細な心を見事に再現する。(60点)
名誉を守るためには命を惜しまない気位の高さ、子供の持つ無邪気さと残酷さ、社会的身分の差。ひとりのアフガニスタン人が体験する数奇な半生を、ソ連の侵攻からタリバン支配までの時代を背景に描く。その根底にあるのは少年時代の友人への思いと後悔。兄弟同然に育った2人がなぜ離れ離れになり、激動の波に飲まれていったか。理性では割り切れない微妙な感情の動きを丁寧に掬い上げてエピソードを積み重ねる手法で、大人の事情を理解し始めた年頃の、硬いけれど傷つきやすい繊細な心を見事に再現する。
この映画の批評を読む »
独特の住宅群を俯瞰で撮影した映像が美しい。(75点)
アフガニスタンを興味深い角度から描いた人間ドラマだ。強い絆で結ばれた少年二人の友情と人生を描くが、アフガンの過去と現在を描く骨太な政治ドラマの側面もある。黙って運命に従うハッサン少年の姿があまりに悲しいが、悔恨の念を抱き続けて作家になったアミールが義父に毅然とした態度をとる終盤の言葉で心が晴れた。独特の住宅群を俯瞰で撮影した映像が美しい。邦題は劇中に2度登場するセリフで、見終われば心にしみる。
マーク・フォースターが世界中で感動を巻き起こした小説を映画化(70点)
アメリカ在住のアフガニスタン人作家カーレド・ホッセイニの書いた『君のためなら千回でも(原題:The Kite Runner)』という小説がある。この作品は2003年にアメリカで出版になり、300万枚を売り上げる大ベストセラーになった。現在では38カ国以上で出版されている。アメリカに住むアミールが故国アフガニスタンに赴き、過去の自分の犯した罪の償いをするストーリーが世界で感動を巻き起こした。
この映画の批評を読む »