◆高く透き通った空と力なき冬の陽光を背景に、風になびく純白の包帯。そのイメージの中、強烈な喪失感と未来への漠然とした閉塞感にさいなまれるヒロインが、やさしさだけでは解決しない他人の痛みを理解する過程で成長する。(50点)
高く透き通った空と力なき冬の陽光を背景に、風になびく純白の包帯。そのイメージは、まだ人生に対して純粋な心で立ち向かうことができる高校時代を象徴している。悩み、傷つき、そして成長する。そこに必要なのは同じ目的に向かって走ることができる友人。強烈な喪失感と未来への漠然とした閉塞感にさいなまれるヒロインが、やさしさだけでは解決しない他人の痛みを理解する過程で大人への階段を上っていく。ただ、文学かぶれの若造が自分の言葉に酔っているようなベタなセリフと、フォークソング風ギターの音色が暑苦しい。
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(70点)
リアルな青春物語として、なかなかの出来栄えだ。心の傷の元になるものや場所に、包帯を巻いて癒すという発想はセンスがある。ネットを使っての活動、地方都市ならではの閉塞感が物語に活きているのがいい。柳楽優弥が初めて演技らしい演技を見せてくれるのも収穫だ。ただ、ラスト、中東らしき場所が写る数分が蛇足。戦争という現実は、包帯などで癒される甘いものではないだろう。
柳楽優弥の押尾学化に驚かされる(55点)
柳楽優弥は、『誰も知らない』(04年)で、カンヌ国際映画祭男優賞を史上最年少(14歳)で受賞した華麗な経歴を持つ。ピュアな風貌のこの子供が、この先どんな方向に進むのか、当時の映画関係者は期待と不安をもってみていたものだ。あれからわずか3年、彼は本作で早くも役者としてのターニングポイントを迎えた。そして、あのときのあどけない少年は、意外な方向へと歩き始めた。
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