スイスらしい丁寧な佳作(60点)
手仕事の国スイスらしい丁寧な佳作である。小さな村に住む80歳のマルタは友人たちと助け合って若き日の夢であったランジェリーの店を開くが、保守的な村で反発を買う。これはおばあちゃんが起こす小さな革命の物語だ。老人を描く作品だが、牧師の不倫を責めないなど、意外にも懐が深く、ネット販売に挑戦する現代性も好感度大である。エメンタール地方独特の可愛い刺繍を施した下着、おいしそうなチーズ、すがすがしい風景と、心を和らげる魅力が満載。下着という見えない部分に気を配るおしゃれ心がマルタの若さの秘訣なのだろう。夢を持つことが人を輝かせると教えられる。
シワだらけの口元とギョロっと輝く目は魔女のような容貌。そんな老婆が新たな目標に向かって突き進む過程で見違えるようにチャーミングになる。彼女は失うものがなくなった人間の強さは、希望が命の源であると教えてくれる。(60点)
シワだらけの口元、ギョロっと輝く落ち窪んだ目、さらにとがった鼻と白髪は魔女を思わせるような容貌。そんな老婆が新たに見つけた目標に向かって突き進む過程で、見違えるようにチャーミングになっていく。宗教的な戒律が色濃く残るスイスの山村で、因習に背を向けるヒロインの姿は凛として美しくかっこいい。家族のために犠牲にしてきた年月を取り戻し、残り少ない人生だから悔いのないように生きる。失うものがなくなった人間の強さと、一度捨てた夢を再び追ううちに周りの村人まで変えてしまうパワーは、希望が命の源であると教えてくれる。
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