今までの過去や日常がすべて虚構であると知った時、どれほどの絶望を味わうのだろうか。自信が打ち砕かれ、途方に暮れ、それでも友達の励ましで立ち直る。「キミは決して一人ではない」というメッセージは古典的だが共感を呼ぶ。(50点)
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戦ってきた敵や愛した人だけでなく、今までの過去や日常がすべて虚構であると知った時、どれほどの絶望を味わうのだろうか。ドラマの中で「スーパードッグ」を演じるために撮影所に作られたセットの中で暮らす犬が外界に飛び出し、現実には己の力が通用しないことを学んでいく過程で覚える無力感がリアルだ。そんな彼が、自信を打ち砕かれ、途方に暮れ、それでも友達の励ましで立ち直る。「キミは決して一人ではない」という、傷ついた心を持つすべての人に送るそのメッセージは古典的だが、主人公の感情の変遷が共感を呼び、一途な思いが胸を打つ。
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ラストにハリウッドの商魂をチラリと見せる(70点)
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犬版「トゥルーマン・ショー」と呼びたいこのアニメは、ハリウッドのスター犬・ボルトが主人公。手違いでNYに来たボルトは、自分のスーパー・パワーがすべて偽物でTVドラマの世界のことだと知るが、大好きな共演者の少女ペニーを助けるため、本物の冒険へと旅立つ。主人公の成長を描くのにロードムービーの形は最適で、ボルトは現実を知りながらたくましくなっていく。旅に巻き込まれるすれっからしの野良猫やおとぼけハムスターなど、道連れキャラもイイ感じだ。個人的には芸能界の虚構の中でしたたかに生き抜く毒のある展開を期待したが、夏休み向けファミリー映画ではそれは無理。ラストにハリウッドの商魂をチラリと見せる程度だった。それでも、勘違いが無償の愛でやがて本物になる展開は幸福感に満ちている。
自分の住む町が撮影所だと知らなかった犬の物語(85点)
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この次の週には『忠犬ハチ公』の米国リメイクも公開され、さながら日米イヌ対決の様相を呈しているが(いや正確にはどちらもアメリカの犬か)、先攻の『ボルト』は役者犬。しかも、自分が役者だと気づいていない、ある意味幸せな犬が主人公。
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