強力なリーダーシップを発揮しなければならないはずの大統領に、こんな卑小な人物を選んでしまった米国有権者の人を見る目のなさに対する自嘲とも思える開き直りが、映画にブラックユーモアをもたらし、強烈な皮肉となっている。(70点)
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悪いやつらを懲らしめようとしたら、自分の思いこみ。偉大な父に認められようと精一杯頑張っているのに、いつも否定される。これが普通の男ならば、信仰のおかげで苦悩の果てに生きる道しるべを得た希望の物語になってもおかしくない。しかし、主人公は世界の趨勢を左右する最高権力の座にある人間。超人的な能力とリーダーシップを発揮しなければならないはずなのに、こんな卑小な人物を指導者に選んでしまった米国有権者の人を見る目のなさに対する自嘲とも思える開き直りが、映画にブラックユーモアをもたらし、強烈な皮肉となっている。
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こんなにも凡庸なアプローチでいいのか(30点)
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ストーン監督の社会批判精神はいったいどこへ?歴代最低支持率の大統領の映画がこんなにも凡庸なアプローチでいいのか。名門に生まれたジョージ・W・ブッシュは、偉大な父へのコンプレックスからアルコール依存症になり、信仰で覚醒した、いたって“フツーの人”でしたというお話だ。そんな物語の主人公なら、大儀なきイラク戦争や金融危機を招き、災害復興でさえモタつく世界一の大国のリーダーでなくてもいい。戯画化された側近の描写は笑えたが、石油確保の悪だくみなど、もはや周知の事実だ。存命の元大統領を描くならもう少し斬新な視点が必要で、準備不足で作るにはあまりに不適切な題材だった。ただ、ブッシュ家の柱だった強母バーバラの存在は興味深い。特殊メイクで本人に似せたジョシュ・ブローリンは好演。
本格社会派作品を期待してはだめ(45点)
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オリバー・ストーン監督のスケジュールに急遽空きが発生したため、オバマ就任100日少々というこんなに早い時期に、前大統領の伝記映画が登場する面白い状況が生まれた。だが、急ぎ作ったとは思えない安定したクォリティは、さすが名うての社会派監督だ。
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◆オリヴァー・ストーン監督が描くジョージ・W・ブッシュの人生(60点)
アメリカに深い闇を落とした男ジョージ・W・ブッシュ元大統領。オバマ氏が大統領になった事で、アメリカには再び希望の光りが差し始めた感があるが、ブッシュがアメリカに作った傷はとてつもなく深く、オバマ大統領はまずその傷を癒す事から始めなくてはいけない。映画『ブッシュ』は大統領という座を手にしては堕ちたブッシュの人生を描く伝記映画だ。
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