◆母性愛と友情を内包したヒューマンドラマ(85点)
気鋭の女性監督コートニー・ハントの初長編監督作品となる「フローズン・リバー」は、低予算のインディペンデント作品ながら、2008年のサンダンス映画祭でグランプリに輝くほか、第81回アカデミー賞(2009年)では、デビュー作にしてオリジナル脚本賞にノミネートを果たすなど、世界中で高い評価を受けた。
◆母性愛と友情を内包したヒューマンドラマ(85点)
気鋭の女性監督コートニー・ハントの初長編監督作品となる「フローズン・リバー」は、低予算のインディペンデント作品ながら、2008年のサンダンス映画祭でグランプリに輝くほか、第81回アカデミー賞(2009年)では、デビュー作にしてオリジナル脚本賞にノミネートを果たすなど、世界中で高い評価を受けた。
◆深みのある物語が感動を誘う秀作(75点)
スター不在で監督も無名だが、深みのある物語が感動を誘う秀作だ。米国とカナダにまたがるセントローレンス川。そこでは多額の報酬と引き換えに不法入国者を運ぶ闇のビジネスが行なわれていた。夫に新しいトレーラーハウスの購入費用を持ち逃げされた白人女性のレイと、義母に奪われた我が子を取り戻そうとする先住民モホーク族の女性ライラは、なりゆきで手を組むことになり、この危険な国境超えを成功させる。家族のためとはいえ、捕まれば即刻逮捕のヤバい犯罪は、やがて当局の知るところに。警察に追われた二人は、自治権があるモホーク族の保留地に逃げ込むことになるが…。
◆食事にも事欠く米国貧困層の生活がリアルだ。体に刻まれた下品なタトゥーが過去を暗示し、乱れた髪とかさついた肌が現在を明示するが、子供たちの前では決して弱さを見せないヒロインの姿が母親としての覚悟を象徴する。(70点)
トレーラーハウスに住み子供たちの食事にも事欠くほどなのに、リビングルームには巨大な液晶テレビが置かれている。収入はわずかなのに消費は止められない米国貧困層の生活ぶりがリアルだ。ただ、現金のために仕方なく犯罪に手を染めても良心まで失っているわけではなく、不法行為はしてもモラルの線引きはしている。それは子供たちには少しはましな人生を送らせてやろうという心使い。ヒロインの体に刻まれた下品なタトゥーの数々が過去を暗示し、乱れた髪とかさついた肌が現在を明示するが、日々成長を続ける子供たちの前では決して弱さを見せない彼女の姿が母親としての覚悟を象徴している。
◆人種、移民、貧困といったアメリカ社会の影の部分を描いている(80点)
2008年度サンダンス映画祭のグランプリをはじめ、数々の賞を受賞した実話に基づいた社会派ヒューマン・サスペンスドラマ。監督を務めたのは、本作が長編デビュー作となるコートニー・ハント。
◆タフで優しい女2人が、人種を超えた絆を結ぶ(70点)
サンダンス映画祭でグランプリを獲得、アカデミー賞で脚本賞にノミネートと高い評価を受けながら、地味なるがゆえに日本での公開が危ぶまれていた作品。遅ればせながらも公開された背景には本来、配給は専門外である映画館「シネマライズ」の尽力があったらしい。その英断を称えたい。
◆サンダンス映画祭グランプリ、人々を突き動かす痛烈で優しい母親の物語(90点)
今日、母親が我が子に危害を加えたり、殺害したりという悲しいニュースを聞く事がある。それでもやはり体を痛めて産んだ子供へ対する母親の愛情というものは世界中どこへ行っても計り知れない程深いものだ。母の愛は優しくそして強い。そしてここに生活していくのが困難な状況下で、我が子に愛を惜しまない母親の物語が誕生した。女性監督コートニー・ハントの初長編映画作品『フローズン・リバー』は言葉を失う程痛くそして優しい物語だ。