「下妻物語」の監督がおくる、心温まる絵本ムービー(40点)
「下妻物語」(2004)、「嫌われ松子の一生」(2006)と興行面で成功を重ねた中島哲也監督の最新作は、後藤ひろひと原作の舞台の映画化。得意のCG技術をこれまで以上にふんだんに使用した、ハートウォーミングストーリー。
「下妻物語」の監督がおくる、心温まる絵本ムービー(40点)
「下妻物語」(2004)、「嫌われ松子の一生」(2006)と興行面で成功を重ねた中島哲也監督の最新作は、後藤ひろひと原作の舞台の映画化。得意のCG技術をこれまで以上にふんだんに使用した、ハートウォーミングストーリー。
毒々しいまでに原色を強調したセットとCGアニメを合成さてたおとぎ話の絵本のような映像は、あらゆる表現が過剰。コメディとしては笑えず、メロドラマとしても感情に訴えるものが少ないという中途半端な作品になってしまった。(40点)
毒々しい原色を強調したセットとCGアニメーションを合成さてたおとぎ話の絵本のような映像は、ティム・バートンを凌駕するような出来栄えだ。しかし、あらゆる表現が過剰で、結果的にコメディとしては笑えず、メロドラマとしても感情に訴えるものが少ないという中途半端な作品になってしまった。もっと、気難しい老人と薄幸の少女の物語に絞り込み、彼らふたりの交流をじっくりと描きこむべきだった。最初から最後まで、下品なほど派手に装飾されたネオン看板を無理やり見せられているような気分になった。
妻夫木聡が突出して素晴らしい(65点)
舞台そのもののような極端な登場人物がひしめく和製ファンタジー。入院中の大富豪・大貫は嫌われ者の偏屈ジジイ。そんな彼が、記憶が1日しか持たない少女パコのために彼女が愛読する絵本をお芝居にすることを思いつく。映像は一場面に原色が多すぎてちっとも美しくない。セリフも大仰すぎてさっぱりノレない。だが、唯一、それら全てが効果的に昇華していくのが3Dで描かれる劇中劇「ガマ王子対ザリガニ魔人」だ。ここだけが極彩色で他は白黒でもいいと思うほど。変人キャラが暴走し続ける、騒々しい物語の中で、元・有名子役の青年を怪演した妻夫木聡が突出して素晴らしい。