愛と革命の闘士チェ・ゲバラ最後の戦いを描く(65点)
キューバ革命を戦うチェ・ゲバラの姿を描いた前編『チェ 28歳の革命』(公開中)は、あまりに説明皆無で初心者お断りなつくり。キューバ史をよく知るジャーナリストは「それでも見てて疲れた」と言い、キューバ政府にパイプを持つほどの、あるゲバラフリークは「(自分は楽しめたが)はたして一般人がついてこれるのか心配になるほど」と私に語った。
愛と革命の闘士チェ・ゲバラ最後の戦いを描く(65点)
キューバ革命を戦うチェ・ゲバラの姿を描いた前編『チェ 28歳の革命』(公開中)は、あまりに説明皆無で初心者お断りなつくり。キューバ史をよく知るジャーナリストは「それでも見てて疲れた」と言い、キューバ政府にパイプを持つほどの、あるゲバラフリークは「(自分は楽しめたが)はたして一般人がついてこれるのか心配になるほど」と私に語った。
輝かしい成功体験を引っさげて乗り込んだ新天地は予想と違い、兵士たちの士気の低下は手に負えなくなっていく。革命に生きた主人公の最期の約一年に焦点を当て、息絶えてもなお高潔な理想を捨てなかった壮絶な生きざまに迫る。(80点)
あてにしていた支援が得られず、搾取されているはずの人民の教化も遅遅として進まない。輝かしい成功体験を引っさげて意気揚々と乗り込んだ新天地はあまりにも予想と違い、兵士たちの士気の低下と規律の緩みは手に負えない。さらにキューバの二の舞を恐れた米国の援助のもと、高度な訓練を受けた特殊部隊に追い詰められていく。映画は革命を南米に広めようとして挫折したゲバラの最期の約一年に焦点を当て、息絶えてもなお高潔な理想を捨てなかった壮絶な生きざまに迫る。
史実を知っていても、映画の緊張感はまったく失われていない(75点)
信念を持って戦うゲバラの姿に胸が熱くなる2部作の後編。困難を乗り越えてキューバ革命を達成する前編が希望に満ちていたのに比べ、死へと向かう本作はあまりに悲痛だ。1965年、ゲバラは変装してボリビアに潜入、独裁政権を倒すべくゲリラ活動を開始するが、彼の理想は厳しい現実に打ち砕かれていく。革命運動に挫折し、処刑されるという史実を知っていても、映画の緊張感はまったく失われていない。前作同様、余計な説明はいっさいないが、農民たちと笑顔で接する彼の姿は、自由と平等の実現を信じたゲバラの思いを写すようだ。既成の映画文法に迎合せず、たとえ難解になろうと自分のスタイルで撮り上げたソダーバーグに拍手を贈りたい。