アップを多用した映像はおしゃれな写真集のよう(50点)
映画と呼ぶにはあまりに不思議な手触りの作品だ。一流の写真家・操上和美の美意識にどっぷり浸って、日常から乖離する感覚が味わえる。カメラマンの男は、依頼されて、向いの部屋に住む謎めいた女を盗撮し続けるが、やがて仕事を越えて彼女に惹かれてゆく。セリフはほとんどなくアップを多用した映像はおしゃれな写真集のよう。総じてひとりよがりの世界だが、それでもまったりとした雰囲気は奇妙に心地よい。一応ストーリーはあるもののイメージの羅列でつづるこの作品、一種の実験映画と言えようか。女は実は殺し屋。繰り返し描かれる、ゆでたまごを食べる場面がエロチックだ。