◆必死で過去から逃げようとする主人公に対し、過去よりも未来だけを見ていこうという母親。映画はその対比を男女の本質的な差異とまで断言し、女性賛美にまで昇華する。しかし、間延びした会話と映像がそんな物語の特性を殺す。(40点)
密入国の手引きから中国人孤児との生活、自分を捨てた母親との偶然の再会と復讐。二転三転して先が読めないプロットは秀逸で、登場人物もみなどこか秘密めいた過去を持っている。しかし、そんな物語の特性を殺してしまうような間延びした会話と映像。もっと煮詰めて100分ぐらいにまで濃縮していれば引き締まった作品になったはず。宮崎あおいやオダギリジョーのエピソードはこの物語に直接関係がなく、彼らのために無駄なエピソードを挿入するのは本末転倒。話が横道にそれてしまい、映画のテンポを乱している。