作り手のサガンに対する愛情が、残念ながらほとんど伝わってこない(45点)
© 2008 ALEXANDRE FILMS / Etienne George
劇中でサガンは「私には書くことしかできない」と言う。その言葉通り小説家としての才能はあるが、若くして手に入れた富と名声に翻弄された破滅型の作家サガンの波乱の人生を描く物語だ。映画を見て驚くのは、主演のシルヴィ・テステューが驚くほど実物のサガンに似ていること。どこか貧相で子供のような表情はサガンに生き写しで、映画に説得力を与えている。だが作り手のサガンに対する愛情が、残念ながらほとんど伝わってこない。物語は終始彼女のスキャンダラスな側面ばかりを追い、唯一の才能である“書くこと”の苦悩や喜びをほとんどスルーしているのが原因だ。物語を生み出すことこそが彼女の個性だというのに。ラストの海辺での息子との会話にだけ、主人公へのいたわりを感じる。この物語のサガンはとても孤独だ。
莫大な富と名声を手に入れた先にあったものは孤独。成功と挫折、恋愛と破局、大儲けと破産、それらを何度も繰り返すヒロインの私生活は、才能に溢れ、大衆に支持され、時代の寵児として君臨した作家としての顔とは正反対だ。(60点)
© 2008 ALEXANDRE FILMS / Etienne George
誰もがうらやむような富と名声を手に入れた先にあったものは孤独。成功と挫折、恋愛と破局、大儲けと破産、それらを何度も繰り返すヒロインの私生活は、才能に溢れ、大衆に支持され、時代の寵児として君臨した作家としての顔とは正反対の侘しさだ。あまりにも自分に正直だったゆえに、愛することも生きることも不器用だった女の栄光と転落の人生をリアルに再現する。苦悩に満ちた彼女の後半生は幸福よりも悲しみに出会うことの多い、デビュー作のタイトルそのもののような生き方だった。
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