陰影の濃いモノクロの映像は主人公の苦悩の人生を象徴している。だが、その単調でずるずると滑り落ちるような感覚は、アーティストとしての創作上の葛藤ではなく、単に薬物の副作用で脳の機能が低下しているとしか見えない。(40点)
陰影の濃いモノクロの映像は主人公の苦悩に満ちた人生を象徴しているようだ。時折、芸術の神が気まぐれに舞い降りてきてファンの心に残るような詞を残すとき以外はいつも陰鬱な表情で遠くを見ている彼の目に映る世界は、喜怒哀楽に彩られた風景ではなく、むしろ頭に靄がかかっているかのよう。その単調でずるずると滑り落ちるような感覚は、アーティストとしての創作上の葛藤ではなく、単に薬物の副作用で脳の機能が低下しているようにしか見えない。結果的にこの作品は夭逝した歌手の伝説ではなく、てんかんに苦しんだ一人の患者の闘病記としか思えなかった。