◆欺瞞と裏切りの世界に生き、友人や同僚、果ては家族すら信じられなくなった男。そして自らもその罠に落ちる。生き残るために現実を受け入れ良心を殺していく主人公の姿を、コッポラの演出と見まがうような重厚なスタイルで描く。(80点)
諜報という欺瞞と裏切りの世界に生き、友人や同僚、果ては家族すら信じられなくなった男。そして自らもまたその罠に落ちるという自家撞着。「真実は人を自由にする」という格言を引用しながら誰もがそんな言葉を否定する世界で、嘘という鎖で縛られがんじがらめになっていく。ニセ情報を敵に信用させるための偽装、敵もまた同じ手を使ってくる。その中で何が真実かは結局誰にも分からないというすさまじいまでに情報が混迷。生き残るためにその現実を受け入れ良心を殺していく主人公の姿を、コッポラの演出と見まがうような重厚なスタイルで描く。