進歩したクローン技術は、心まで再生できるのか。クローンがそのオリジナルの人の記憶をたどるうちに背負った苦悩まで追体験する。しかし、メリハリのない演出とエピソードは、クローンの葛藤を十分に描いているとはいえない。(30点)
進歩したクローン技術は、肉体を再生できても、心まで再生できるのか。無機質で静謐な映像は、人間をモノとしか考えない科学者の思考を象徴しているよう。彼らは人の脳をデジタルデータに変換することはできても、人格や精神活動まで正確に転写することなど不可能であることに気付かない。映画は、クローンがそのオリジナルとなった人の記憶をたどるうちに、オリジナルが背負った苦悩まで追体験する過程を通じて、この技術の在り方を問う。しかし、メリハリのない単調な演出とヤマ場の乏しいエピソードの連続は、クローンゆえの葛藤を十分に描いているとはいえず、退屈な印象を免れない。