◆かなえられた願い、届かなかった想い、さまざまな気持ちが素直に綴られた日記。しかし、未熟な他人にのぞかれることで陳腐な共感となってたちまち色褪せる。映画は幼稚なミステリー仕立ての上に恋愛ごっこを重ね塗りする。(30点)
かなえられた願い、届かなかった想い、さまざまな気持ちが素直に綴られた日記。それは他人の目を気にすることなく自分を見つめ直す作業だ。文章にすることで考えと感情を整理し、丁寧に万年筆を走らせる。うれしかったことも悲しかったことも一呼吸おくことで冷静になり、やがてそれは思い出という美しい財産に昇華される。しかし、その心の足跡も、未熟な他人にのぞかれることで陳腐な共感となってしまうとたちまち色褪せる。さらに映画は幼稚なミステリー仕立ての上に恋愛ごっこを重ね塗りするという失敗を繰り返す。
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(50点)
行定監督得意のセンチメンタルでノスタルジックな恋愛映画。物語終盤には驚きが用意されているが、これは最初から読めるオチなので効果は薄い。偶然に頼りすぎるし、女の子好みの設定に甘さがあるが、誠実な教師役を繊細に演じた竹内結子の透明感あふれる演技で救われた作品だ。久しぶりにフツーの演技を見せる伊勢谷友介も新鮮。窓から外を眺めるシーンが印象的に使われている。
沢尻エリカは弱点ばかりが露見して気の毒(35点)
賃貸住宅に入居すると、まれに以前の住民の忘れ物(?)に遭遇する。大抵は、(解除し忘れたのであろう)定期的に送られてくる通販下着カタログの類であり、宛名がかわいらしい女性の名前でもない限りは迷惑の極みであるが、これがもし洗面所の鏡の裏に隠された分厚い日記帳だとしたらどうだろう。はたしてあなたは、見知らぬ誰かの物語に入り込む欲求を抑えることができるだろうか。
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