◆潔癖で純粋、誰よりも深いところを見つめていた少年は、それゆえ世間を拒絶し、孤立し、きれいごとでは済まされない人間の営みに失望して命を絶つ。映画は彼の肉体に入った魂を通じて、人はみな支えあって生きていると訴える(50点)
自己認識できているのに、誰なのかを思い出せない“意思”が世俗に返される。生き返ったけれど、どうリアクションすればいいのかわからない。手探りで周りの人々とかかわっていくうちに、人と人との距離感をつかんでいく。潔癖で純粋、誰よりもいちばん深いところを見つめているような少年だった元の肉体の持ち主は、それゆえ世間を拒絶し、孤立し、きれいごとでは済まされない人間の営みに失望して命を絶った事実が明らかになっていく。映画は、そんな少年の魂の再生を通じて、人はみな支えあって暮らしていると訴える。細密に再現された町並みや室内などの背景が強烈なリアリティを生み出している。