◆ライト感覚の古風な犯罪ドラマだが、決して古臭くはない(70点)
毎週同じ場所でジャズを演奏し、毎年ほとんど同じフォーマットで映画を作る。そんな神経症的な映画監督ウディ・アレンの新作は、監督本人が「悲劇」と呼ぶ犯罪ドラマ。
◆ライト感覚の古風な犯罪ドラマだが、決して古臭くはない(70点)
毎週同じ場所でジャズを演奏し、毎年ほとんど同じフォーマットで映画を作る。そんな神経症的な映画監督ウディ・アレンの新作は、監督本人が「悲劇」と呼ぶ犯罪ドラマ。
◆仲の良い兄弟は金持ちになる夢を見る。それは成功した人々のアイデアや勤勉を見習うのではなく、稼いだカネという結果に憧れる浅はかなもの。幸運は簡単に訪れるはずもなく、ふたりが陥穽に落ちていく過程は教訓に満ちている。(50点)
仲の良い兄弟は金持ちになる夢を見続ける。それは世間で成功した人々のアイデアや勤勉を見習うのではなく、稼いだカネという結果に憧れる浅はかなもの。兄は怪しげな投資に夢中になり、弟はギャンブルで一攫千金を狙う。そんな、貧しさにあえいでいるわけではない、それでも今より豊かになりたい人間の愚かな欲望に油を注ぐ21世紀的な拝金主義に、映画は強烈なしっぺ返しをくらわせる。自分の利益にこだわる彼らに幸運は簡単に訪れるはずもなく、ふたりが陥穽に落ちていく過程は教訓に満ちている。
◆兄弟が乗る船の下には罪悪感という海が広がっていた(65点)
ロンドン三部作の最終章は、ささやかな野心と皮肉な運命を描く人間ドラマ。ビジネス界での成功を夢見る兄イアンと、ギャンブル好きの弟テリーは、小型クルーザーを購入し、カサンドラズ・ドリーム号と名付ける。イアンは恋人相手に分不相応な見栄をはりながらも、新生活を夢見ていた。だがギャンブルで大負けしたテリーが巨額の借金を背負ってしまう。兄弟は大金持ちの伯父ハワードに助けを求めるが、彼からとんでもない“頼みごと”を持ちかけられ……。
◆ウディ・アレン監督によるロンドンが舞台のスリラー作品(55点)
60年代に映画監督デビューして以来、コンスタントに映画を撮り続けているアメリカ人映画監督ウディ・アレン。彼は俳優としても活躍しており、自身が監督する作品にはしばしば出演している。ウディ・アレンが最も彼らしさを発揮するのは『アニー・ホール』『マンハッタン』に代表される様なニューヨークを舞台にしたコメディ。ところが2005年の『マッチポイント』と2006年の『タロットカード殺人事件』はロンドンを舞台とし異彩を放った。そして2008年、彼は再びロンドンを舞台にした作品を監督した。『ウディ・アレンの夢と犯罪(原題:CASSANDRA’S DREAM)』というサスペンス映画である。