いつのまにか物語に引き込まれる(60点)
にぎやかで奇妙なバルカン式ドタバラ喜劇だ。祖父から都会へ行って花嫁を連れ帰ることを命じられた少年ツァーネがマフィア相手に大活躍する。クストリッツァ映画常連の味のある動物たちやヘンテコな登場人物たちが入り乱れ、おなじみの管弦楽器が鳴り響けば、いつのまにか物語に引き込まれるはず。ひたすら唐突なプロットで突き進むが、映画全体を俯瞰してみると、いたるところに二つの対比するものが描かれていることに気付く。偶然と必然、素朴と残酷、グローバリズムとローカリズムなどがそうで、それらの関係性を、人間が宙吊りになりバランスをとる場面で描くのが人をくった教訓のようだ。ベタなギャグもこの監督ならでは。旧ユーゴの内戦で地獄を見たクストリッツァの喜劇は、いつだって人生を肯定する寓話なのだ。
仕掛け時計に始まり、落とし穴、催眠渦巻き、標識に頭をぶつけたりロープで逆さ吊りにされたり。冒頭からラストまで、そんなベタなギャグのオンパレード。オチがミエミエのネタでも何度も繰り返され、パワフルな連打は止まらない。(40点)
朝寝坊の少年をたたき起こす仕掛け時計に始まり、落とし穴、催眠渦巻き、標識に頭をぶつけたりロープで逆さ吊りにされたり、天井までの放尿や壁を壊す頭突き、果ては空から屋根を突き破って男が降ってくる。田舎の少年が都会で嫁探しをする物語の冒頭からラストまで、そんなベタなギャグのオンパレード。オチがミエミエのネタでも何度も繰り返され、パワフルな連打は止まらない。しかし、悲しいかなそのセンスは20年前のコントを見ているようで、完全にスベっている。母国セルビアではウケるのかもしれないが、試写室から一切笑い声が漏れなかったところを見ると、このテイストは日本人には合わなかったようだ。
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