◆タランティーノ節が全開(85点)
クエンティン・タランティーノ監督が、『キル・ビル』製作の頃から構想を描いていた異色の戦争アクション。
◆「これが俺の最高傑作だ!!!」(60点)
むむむ。
CMの予告イメージ(ゲラゲラ笑えるものかと思ってました)とは違ったものの。。
「コレが俺の最高傑作だ!」と豪語するだけはある。
◆人間の命の軽さを延々と描き、壮大な毒を持ったコミカルな寓話の体裁で鮮やかな反戦メッセージを謳いあげる。さらに、延々と続く会話の端々に忍ばせた蘊蓄に富んだディテールと緻密に計算された伏線が、緊張感を盛り上げる。(80点)
250人の敵を倒したドイツ兵は英雄に祭り上げられて、その活躍はプロパガンダ映画になる。米軍特殊部隊はドイツ兵をバットで殴り、頭皮を剥ぎ、額にカギ十字を刻む。独軍・連合国軍兵ともに敵の命を奪うことが快感という戦時の心理状態。そこには戦争の悲惨さや個人の思いなど微塵もなく、スリルを楽しむかのようにゲーム感覚で人を殺し人が殺されていく。映画は、人間の命などこれほどまでに軽いものであることを延々と描き、戦争が人間性を奪っていく現実を突きつけ、壮大な毒を持ったコミカルな寓話の体裁で鮮やかな反戦メッセージを謳いあげる。さらに、延々と続く会話の端々に忍ばせた蘊蓄に富んだディテールと緻密に計算された伏線が、いつ爆発するのかという緊張感に彩られ、片時も目が離せない。
◆ナチス兵がぶち殺されるさまを皆で見る(60点)
ロッテリアの絶品バーガーのヒットを受け、本作も「つまらなくて途中退場した人は無料」キャンペーン(公開から4日間限定)を行うという。
◆先読みできない展開がすごい(75点)
ナチスやヒトラーと、その打倒を描いた映画は多いが、この作品はスタンスといい、切り口といい、まったくもって奇想天外だ。歴史的な事実を背景にしてはいるが、史実通りに描く気など、タランティーノには微塵もない。1941年、ナチス占領下のフランスで、家族を虐殺されたユダヤ人少女ショーシャナは、間一髪で逃げ延びる。成長した彼女は映画館を経営しながらナチスへの復讐を誓っていた。一方、イングロリアス・バスターズと呼ばれる連合軍のならずもので構成された極秘部隊は、レイン中尉をリーダーに次々にナチスを血祭りにあげて独軍をふるえあがらせる。独人美人女優で二重スパイであるブリジットの情報をもとに、ある極秘ミッションが計画されていたが、それはショーシャナにも復讐のチャンスとなる。
◆全編を通じて、皮肉あり、オマージュあり、メタファーあり、ユーモアありの会話劇(85点)
「レザボア・ドッグス」(1992年)、「パルプ・フィクション」(1994年)、「キル・ビル」(2003年)、「デス・プルーフ in グラインドハウス」(2007年)など、撮るたびに話題を巻き起こすクエンティン・タランティーノ監督の最新作。ただでさえ注目度の高い監督だが、主演にブラッド・ピットを迎えたとあれば、話題としては"鉄板"だろう。
◆タランティーノが歴史を変えた!(90点)
クエンティン・タランティーノは、この作品で映画の定石をいくつ破っただろう? ナチス占領下のフランスを舞台に、2つのヒトラー暗殺作戦を同時進行させるという筋立てからして破格。魅力的なキャラクターを次から次へと登場させては、華麗なる死と暴力の激発の中で、惜しげもなく退場させていくのもぜいたくだ。観客は予想を裏切られ、大いに驚愕することになるが、それでいてストーリーの緊迫感やパワーが落ちることはない。おまけにタラちゃん、するに事欠いて、しまいには“歴史”まで変えてしまった。ブライアン・シンガーとトム・クルーズのコンビでも越えられなかった史実という名の厚い壁を、これほどあっさりぶち壊してしまうとは、タラちゃん、やはりあんたはただ者ではない。
◆タランティーノらしい、映画愛に満ちた映画至上主義の映画。キャラクターが魅力的で、すべての場面に緊張感がある(91点)
本作のテーマが「映画愛」であることは、誰の目にも明らかだ。映画館を舞台に「映画館作戦」が実行される。ナチスは映画をプロパガンダの武器にしようと、プレミア上映会を開催。その上映会で、ナチスへの復讐の武器となるのはフィルムなのである。最後は映画が歴史すらも変えてしまう。どこまでも映画至上主義の作品だ。
◆クエンティン・タランティーノ監督最高傑作誕生!(95点)
歴史に残る名作の誕生だ。第62回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されたクエンティン・タランティーノ監督最新作『イングロリアス・バスターズ(原題:INGLOURIOUS BASTERDS)』は彼が長年温め続けてきた、戦争をモチーフにしたマカロニ・ウェスタン色満載の映画。これがもうタランティーノ氏の映画に対する溢れんばかりの「愛」が滲み出ている様な作品なのだ。