映画というよりミュージック・ビデオ(45点)
女性の服が中心のファッション界で、メンズ、しかも皮という素材だけで勝負するレザー・ブランド“BACKLASH”のデザイナー・片山勇のドキュメンタリーだ。見た目はヘビ・メタのロッカーかオウム教の教祖様のようだが、中身は極めて古風な職人気質の人。男気があり、雄弁で言葉が熱い。ただあまりにも精神論が続くので、疲れるキャラという印象も。この人は有言実行タイプなのだろう。もっと皮へのこだわりや製造過程を描いてほしかったが、企業秘密なのだろうか。色彩を操作し、目まぐるしく変わる短いカット割の映像はスタイリッシュだが、革製品のクオリティがさっぱり伝わらず、むしろマイナス。映画というよりミュージック・ビデオのようだった。「メンズの服は人間性が特に大切」との言葉はビミョーだが、この世界の厳しさを物語る。