◆閉塞感を抱いたまま突破口を見いだせずにいる青年と、創作活動に没頭するあまり現実を見失っていく漫画家。心を傷つけられてもなんとか生きていこうとする姿を、カメラはリアルに切り取り、鬱屈した感情の爆発を冷徹に見守る。(60点)
痴呆症気味の祖母の面倒を見ながらボクシングジムに通う青年は、ボクシング同様に世渡りの才能も運もなく、どうにもならない閉塞感を抱いたまま突破口を見いだせずにいる。新作のヒントを求めてボクサーを取材する漫画家は元恋人に強い未練を残し、創作活動に没頭するあまり現実を見失っていく。二人は導かれるように出会い、人生がシンクロしていく。うまくいかない日常に心を傷つけられてもなんとか生きていこうとする姿を、カメラは痛ましいまでにリアルに切り取り、鬱屈した感情の爆発を冷徹に見守る。