◆世界観は見事だが、ストーリーは?(60点)
本日(2010年1月26日)のNHKニュースで、『アバター』の全世界興収が18億5,500万ドルを突破し、公開39日目にして歴代1位の『タイタニック』を抜いたと報じられていた。芸能ニュースではなく一般ニュースで伝えられるのだから、この作品のヒットはもはや社会現象だ。私としては本作の批評はスルーしようと思っていたのだが、こうなっては仕方がない。遅ればせながら一筆書いておきますか。
◆世界観は見事だが、ストーリーは?(60点)
本日(2010年1月26日)のNHKニュースで、『アバター』の全世界興収が18億5,500万ドルを突破し、公開39日目にして歴代1位の『タイタニック』を抜いたと報じられていた。芸能ニュースではなく一般ニュースで伝えられるのだから、この作品のヒットはもはや社会現象だ。私としては本作の批評はスルーしようと思っていたのだが、こうなっては仕方がない。遅ればせながら一筆書いておきますか。
◆SFの醍醐味を十分に味わわせてくれる(90点)
ときは22世紀。車いす生活を余儀なくされていたジェイク(サム・ワーシントン)は、事故死した双子の兄に代って、地球から5光年離れた衛星パンドラへ向かった。彼は特殊な装置を使って、人間と現地人のナヴィ族のハイブリッドであるアバター(分身)なるものへ意識をリンクし、その肉体を自由に操ることに成功した。ある日、アバターの肉体を借りて森を探索していると、ジェイクは獣のヴァイパー・ウルフに襲われそうになる。が、運よくナヴィ族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)に助けられて……。
◆凄い映画だが、その凄さが伝わることはないだろう(60点)
「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督、構想15年の大作「アバター」を見て思うのは、こういう作品を普通の映画館でみてもダメだな、という事だ。
◆緑濃い木々、色鮮やかな花、地を覆う輝く苔、そして動物たち。先住民は生活に恩恵をもたす動植物と神経線維を接続して意思の疎通を図るという設定が、地球を破壊してきた人間との決定的な違いとなり、エコロジーを前面に訴える。(60点)
鬱蒼と育った森は天高く生い茂り、絡み合った枝や蔓が空中に張り巡らせた迷路のような道を形成している。緑濃い木々、色鮮やかな花、地を覆う輝く苔、舞い落ちてくる木の精、野生の獣たち、そして先住民。生けとし生きるものは魂のレベルでつながりを持っていて、お互いの命を尊重しながら暮らしている。壮大なパノラマで描かれたユートピアの人々は、科学や文明を否定し自然と共生する道を選ぶ。それはテクノロジーの進歩の先にあるものではなく、満ち足りた環境が保証してくれる安寧だ。先住民は生活に恩恵をもたらしてくれる動植物に神経線維を接続して意思の疎通を図るという設定が、地球を破壊してきた人間との決定的な違いとなり、映画はエコロジーを前面に訴える。
◆深淵な世界観が見事なSF冒険物語。最新の3D技術で提供される美しい映像に思わず息を呑む。(90点)
22世紀。戦傷で下半身不随となった元海兵隊員のジェイクは、亡き兄に代わってアバター・プロジェクトに参加する。目的は、5光年離れた衛星パンドラに眠る貴重な鉱物を得るため、先住民を排除すること。分身“アバター”により、再び身体の自由を得たジェイクは、未知なる星パンドラで任務につくが…。
◆緻密で生命力溢れるジェームズ・キャメロンの革新的な映像の洪水(80点)
人類が利益を優先しなくなる日は訪れないのだろうか。実に1997年の『タイタニック』以来12年振りのジェームズ・キャメロン監督最新作『アバター(原題:AVATAR)』は22世紀が舞台。しかし、この映画の世界の人間も現在と同じくやはり貪欲で残酷。また、未来ではまだ貧富の差も存在し、貧困層は金に利用される。このキャメロン氏渾身の1作では、美しい大自然に覆われた神秘の惑星“パンドラ”を舞台に、金に執着した救い様のない人間の姿を映してゆく。
◆ジェームズ・キャメロン監督が3Dの歴史を変えるといわれたSFアクション。「映像革命」は本当だった(93点)
日本中のシネコンが今年、急ピッチでデジタル3D施設の整備を進めてきたのは、本作のためだと言っても大袈裟ではないだろう。ジェームズ・キャメロン監督が構想に14年、製作に4年を費やしたという「アバター」は、単なる3D映画ではなく、「映像革命」だと伝えられてきた。果たして「革命」は成功したのか? 答えはイエスだ。