物語があまりに突飛で矛盾が多い(50点)
© Rezo Productions / C.E.R.
仏映画らしい耽美系恋愛劇だが、かなりのキワモノだ。神話や土着の信仰が混在する5世紀のフランスで、羊飼いの美少女アストレは、嫉妬のあまり恋人セラドンを疑い一方的に別れを告げる。絶望したセラドンは「二度と姿を見せないで」との彼女の言葉に従い続ける。いくら古い時代の恋愛劇とはいえ、物語があまりに突飛で矛盾が多い。強引な女装や、愛とは?の激論に、唖然とするやら可笑しいやら。ロメールは、歌や大仰なセリフなどでリアリティを無視した美学を貫いている。仏では「あいつはセラドン」と言えば、女のいいなりになる男との嘲笑の意味らしいが、その理由がバッチリ理解できる珍作だ。ただ役者は皆、浮世離れした美しさで、目の保養にはいい。
川のせせらぎ、風のささやき、小鳥のさえずり。自然が織りなす見事なハーモニーがみずみずしい映像にマッチし、ローマの神々と土着の神々を信仰する素朴な人々が織りなすその愛の物語はファンタジーの世界に迷い込んだよう。(50点)
© Rezo Productions / C.E.R.
川のせせらぎ、風のささやき、小鳥のさえずり。自然が織りなす見事なハーモニーがどんな美しい音楽よりもみずみずしい映像にマッチしている。太陽の恵み豊かな季節、緑濃い大地と柔らかい空気、まだキリスト教の洗礼を受けていない5世紀のガリアにおいて、ローマの神々と土着の神々を信仰する素朴な人々が織りなす愛の物語はファンタジーの世界に迷い込んだよう。しかし、文語を棒読みするセリフ回しは紙芝居を見ているような躍動感のなさ。映画は楽園にいるような心地よさを与えてくれるが、逆にそれは変化の乏しさでもある。
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