男っぷりと義理人情に厚い性格で名をはせた清水の次郎長が、実は女房を一筋に思い続けていたという純情。映画は次郎長と子分たちの交流に妻との愛、チャンバラを盛り込むが、どのエピソードも中途半端でつながりが見えてこない。(70点)
© 2008『アキレスと亀』製作委員会
どれだけ他人から才能を否定されても芸術家であることを信じて疑わない男と、彼に盲目的に従う妻。愛や美の喜び、不正に対する怒り、別れや喪失の哀しみ、生きる楽しさといった感情を強烈に発露したいという欲望があるわけでもなく、ただなんとなく小器用に絵がうまいというだけ。そこには独創性やメッセージ性はなく模倣や通俗の範疇に留まっているのに、本人は至ってマジメなのだ。子どものころからいっこうに成長しない主人公の一貫したスタイルは、ある種の神々しさすらうかがえる。
この映画の批評を読む »
夫婦愛の形を借りた芸術残酷物語 (70点)
© 2008『アキレスと亀』製作委員会
夫婦愛の形を借りた芸術残酷物語だ。画家の真知寿(まちす)は妻の支えで絵を描き続けるが、まるで評価されない。やがて夫婦は奇行に走るようになる。絵のことしか頭にない真知寿と彼がとり憑かれている芸術は、いわば怪物。献身的な妻でさえ、夫がアーティストでなかったらここまで彼につきあったかどうか。主人公の周囲の人が次々に死ぬのが象徴的で、芸術は麻薬のように中毒になる。それは映画も同じで、流行に翻弄される風潮を北野流ギャグで批判するスタイルが素晴らしい。取って付けたようなハッピーエンドは芸術へのリバウンド。薄気味悪くも鋭い作品で、油断禁物だ。
北野武監督最新作は、相変わらずややこしいゲージュツ家物語(85点)
© 2008『アキレスと亀』製作委員会
『TAKESHIS’』(2005)、『監督・ばんざい!』(2007)に続く三部作とされる北野武監督の最新作には、数学を愛する監督らしいタイトルがつけられた。
この映画の批評を読む »
才能を否定されても芸術家であることを信じて疑わない男と、彼に従う妻。ただなんとなく小器用に絵がうまいというだけで、子どものころからいっこうに成長しない主人公の一貫したスタイルは、ある種の神々しさすらうかがえる。(70点)
© 2008『アキレスと亀』製作委員会
どれだけ他人から才能を否定されても芸術家であることを信じて疑わない男と、彼に盲目的に従う妻。愛や美の喜び、不正に対する怒り、別れや喪失の哀しみ、生きるこ楽しさといった感情を強烈に発露したいという欲望があるわけでもなく、ただなんとなく小器用に絵がうまいというだけ。そこには独創性やメッセージ性はなく模倣や通俗の範疇に留まっているのに、本人は至ってマジメなのだ。子どものころからいっこうに成長しない主人公の一貫したスタイルは、ある種の神々しさすらうかがえる。