アイガー北壁 - 山口拓朗

◆史実に基づいたこの映画は、舞台となるアイガー北壁の二面性(美しさと厳しさ)をリアルに活写するほか、難攻不落の岩壁を果敢に攻める登山家のクライミングを臨場感満点に描く(65点)

 1936年、ドイツの若き登山家トニー(ベンノ・フュルマン)とアンディ(フロリアン・ルーカス)は、"殺人の壁"と呼ばれるスイスの名峰アイガーの北壁に挑むべきか否か悩んでいた。ベルリン新聞社の女性アシスタントであるルイーゼ(ヨハンナ・ヴォカレク)は、トニーとアンディの幼なじみ。アイガー北壁に挑むオーストリア登山家を取材するためにアイガーの麓にやって来ていたが、そこに登攀(とうはん)を決意したトニーとアンディがやって来て……。

 高い山がひと通り征服されたのちに、気鋭の登山家やクライマーが、より難しい山やルートに挑むようになったのは有名な話だ。ソロ(単独)や無酸素で登頂を目指したり、壁のような岩山をクライミングしたりと、あの手この手の「条件付き登山・登攀」で歴史にその名を刻もうとする者が急増した。

 1930年代当時、多くの登山家が「西部アルプスの最後の難所」と呼ばれるアイガーの北壁に熱い視線を注いでいた。天空を目指して屹立する岩壁は1800mにも及ぶ。天候が変わりやすく、落石や雪崩も多発するデンジャラスな壁だ。映画のなかでも、他国の登山家同士がアタック日(登攀開始日)をけん制しあう描写が見られるが、彼らにとって、史上初かそうでないかは雲泥の差。言うなれば、一流の登山家にとっての登山とは、金メダルしか用意されていないオリンピックのようなものなのだ。

 史実に基づいたこの映画は、舞台となるアイガー北壁の二面性(美しさと厳しさ)をリアルに活写するほか、難攻不落の岩壁を果敢に攻める登山家のクライミングを臨場感満点に描く。もっとも、中盤以降は、ほとんどスペースのない岩場でのビバーク(露営)、思わぬ落石事故、ザイルを命綱代りにしての救助劇、凍傷で黒ずんで行く皮膚、限界まで消耗する体力……等々、修羅場シーンが量産され、観客はただただ神経をすり減らされることになるのだが。

 初登攀を目指す主人公らを興味半分で見守るマスコミや、彼らの無事を祈る幼なじみの視点を設けることで、骨太な山岳ドラマにエンターテインメント性を注入している点も本作「アイガー北壁」の大きな特徴だ。麓の高級ホテルに宿泊するのんきなマスコミや優雅な観光客らの様子をしばしば挟むことで、悪天候下でクライミングする主人公たちの過酷な状況を際立たせる演出は、ちょっぴりズルイほどだ。

 唯一苦言を呈したいのが、トニーとアンディのライバルであるオーストリアの登山家ペアを悪者に仕立て上げている点だ。彼らの登山家にあるまじき姿勢や行動は、「史実に基づいたドラマ」というリアリティをスポイルすると同時に、モデルとなった実在の人物に対する冒涜でもある。娯楽性を高めるのは構わないが、作り手は、脚色の許される範囲と許されない範囲、この境目だけは自覚しておくべきだろう。

アイガー北壁 - 小梶勝男

◆実話を基にした、「山岳映画」の伝統を受け継ぐドイツ版「剱岳」。尤も、「剱岳」は一応登頂に成功するが、こちらは悲劇的な結末が待っている(71点)

 ナチス政権下の1936年、ドイツ人の登山家、トニー・クルツ(ベンノ・フュルマン)とアンディ・ヒンターシュトイサー(フロリアン・ルーカス)の2人が、「殺人の壁」と呼ばれる前人未到のスイスの名峰アイガー北壁に挑む。アイガー北壁山麓の町クライネ・シャイデックには、2人の幼馴染みであり、ベルリン新聞社でアシスタントとして働いていたルイーゼ(ヨハンナ・ヴォカレク)も、上司と共に取材に訪れていた。絶好のコンディションを待って登攀を開始したトニーとアンディを、オーストリア隊の2人が追う。

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アイガー北壁 - 福本次郎

◆目まぐるしく変化する山の表情を前にして、己の知識と経験、そして肉体を頼りに頂上を目指す。垂直に切り立った絶壁で重力を克服し、氷雪と風がもたらす最悪のコンディションと戦い、凍傷の痛みに耐える姿が生々しく再現される。(60点)

 雲ひとつない満月の夜、足元さえ見えない濃霧、容赦なく吹きつける極寒の猛吹雪。目まぐるしく変化する山の表情を前にして、己の知識と経験、そして肉体を頼りに頂上を目指す。しかし、当時の装備では気まぐれな風雪に対抗するには十分とはいえず、挑戦者たちは無残にも命を落とす。垂直に切り立った絶壁で重力を克服し、氷と雪と風がもたらす最悪のコンディションと戦い、凍傷の痛みに耐え、それでもわずかな生存への望みをかけるクライマーたちの姿が生々しく再現される。

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アイガー北壁 - 渡まち子

◆大いなる自然の前で人間とはなんとちっぽけで卑小な存在なのかということも思い知らされる(70点)

 大自然の脅威と極限状況下のクライマーたちの姿を描く本格的な山岳映画だ。ベルリン五輪直前の1936年。ナチス政権は国家の威信を世界に示すため前人未到のアルプスの難所アイガー北壁のドイツ人初登頂を切望する。若き登山家のトニーとアンディは一流の登山家でさえ死に追いやる北壁への挑戦を決意。2人の幼馴染であるルイーゼは、新聞社の一員として彼らを取材することになる。トニーとアンディは他国の登山家と競いながら初登頂に挑むが、落石による負傷や悪天候から、想像を絶する状況へと追い込まれていく…。

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アイガー北壁 - 町田敦夫

◆久々の傑作山岳映画がお目見え(80点)

 ジャーナリストとしては有能だが(あるいは、ジャーナリストとして有能であるがゆえに)人間性にいささか欠陥のあるベテラン記者が、劇中でいみじくもこう語る。「記事になるのは栄光か悲劇だ。『登頂を断念して無事に下山』では誰も読まない」と。この言葉はそのまま「映画になるのは栄光か悲劇だ」と言い換えられるだろう。1930年代、スイスの名峰アイガーの北壁は、「ヨーロッパ最後の難所」と呼ばれていた。本作はその初登攀を目指した若者たちの友情と苦闘を、実話を元に描いたドイツ映画。結末が「栄光」なのか「悲劇」なのかは、あえて予備知識なしで観にいくことをお勧めしたいので書かない。

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アイガー北壁 - 佐々木貴之

◆壮大なスケールで魅せつけ、緊迫感を漂わせたスリリングな描写が魅力的(75点)

 アルプス登攀史上最大の事件と呼ばれた実話をフィリップ・シュテルツェルが映像化した入魂のアドベンチャー・ドラマ。

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