◆美術館改築計画は市民団体の抵抗で頓挫、問題は解決されないまま先送りが決定され、さらに資金難や指導者の辞任にまで発展する。カメラはそんな予想外の展開にも“それもまた人間の営み”とばかりに客観的にレンズを向ける。(50点)
国立の美術館=市民の税金で賄われている以上、この映画を通じて美術館側は改修工事を公開して再オープン時の華々しい広報活動に利用しようと目論んでいたのだろう。監督もまた、さまざまな立場の人々がひとつの目標に向かって力を合わせ、難題を克服する過程を通じて理性の勝利を描きたかったに違いない。しかし、現実は予定調和的なハッピーエンドに向かってくれるほど甘くはない。計画は市民団体の抵抗で頓挫、問題は解決されないまま先送りだけが決定され、さらに資金難や指導者の辞任にまで発展する。カメラはそんな予想外の展開にも“それもまた人間の営み”とばかりに客観的にレンズを向ける。