補欠に光を当てた異色の野球映画(60点)
補欠に光を当てた異色の野球映画。野球部の補欠部員で親友同士の雅人とノブはベンチ入りを目指すが、強力な新人によりライバル関係に。名門野球部ともなると敵の偵察やスパイなど“さわやかじゃない”部分もあって苦笑した。それでも、悩んだ末の成長と輝く笑顔は好感が持てる。汗と涙と友情は青春映画の直球ド真ん中。ラストの“技”は、笑いながらも感動だ。彼らは確かに試合に参加した。そのことが自分のことのように嬉しくなる。題名はボールの縫い目の数で、偶然にも煩悩の数と同じだ。なかなか深い。
がんばるだけでは報われない「才能の壁」という厳しい現実と、それでもわずかなチャンスを目指して努力する球児たちの姿を通じ、努力や信頼で結果を出すよりも羨望と挫折のまま終わる等身大の高校野球の世界を描き切っている。(80点)
公式戦で活躍するチームメイトをスタンドで見つめる補欠。ベンチ入りできなかった悔しさを隠しながら応援しているフリをして、心の中では早く負けてしまえと思っている。そんな複雑で屈折した心理が非常にリアルだ。がんばるだけでは報われない「才能の壁」という厳しい現実と、それでもわずかなチャンスを目指してバットを振る球児たちの姿を通じ、努力や信頼で結果を出す以前に羨望と挫折のまま終わる等身大の高校野球の世界を描き切っている。なにより「ベンチ入りギリギリ」という補欠選手にスポットを当てた視点がユニークだ。
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