後悔を胸に秘めたまま、ずるずる時間だけが過ぎてゆく。杜撰な計画のせいで母親を死なせてしまった兄弟が味わう葛藤と焦り、エゴ。逆光を多用した映像は登場人物の表情の陰影を強調し、心に刻まれた苦悩の深さを浮き彫りにする。(50点)
やってしまったことの後悔をずっと胸に秘めたまま、ずるずる時間だけが過ぎてゆく。事態は好転するどころかますますドツボにはまっていき、取り返しのつかないところまで来てしまう。そして苦渋の決断の末に破滅に向かって暴走する。杜撰な計画のせいで母親を死なせてしまった兄弟が味わう葛藤と焦り、エゴ。逆光を多用した映像は登場人物の表情の陰影を強調し、心に刻まれた苦悩の深さを浮き彫りにする。だが、その苦悩の根源があまりにも浅はかな行為に起因するところが、この作品を安っぽいメロドラマに貶めている。
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緊迫感のある描写と役者の演技に圧倒(75点)
ギリシャ悲劇を思わせる重厚なドラマだ。完全犯罪が崩されるサスペンスに見えるが、崩壊するのは犯罪ではなくある一家の絆。アンディと弟ハンクは共に金に困り両親が営む宝石店を襲う計画を立てる。誰も傷つかないはずの犯行はひとつの誤算から最悪の方向へ。硬派な作風のルメットらしい緊迫感のある描写と役者の演技に圧倒される。時間軸をずらして同じ場面を繰り返すスタイルも無駄がない。愛されないことが心にどす黒い憎しみを生むが、運命はどこまでも手厳しい。物語は悲痛だが、ずっしりとした手応えは満足感を得るものだ。邦題が分かりにくいのがあまりに惜しい。
シドニー・ルメット最新作(75点)
83歳にもなるが現役で活躍するシドニー・ルメットという映画監督がいる。『十二人の怒れる男』等で4度もアカデミー監督賞にノミネートされる、実力もある監督だ。その他には『セルピコ』『狼たちの午後』『プリンス・オブ・シティ』等有名作品も多数あり、きっとわたしたちは彼の作品を1つはどこかしらで観た事があるだろう。そのシドニー・ルメットが新しい映画を監督した。『その土曜日、7時58分』というクライム・スリラーである。所々クスっとしてしまう部分もあり、シドニー・ルメットらしい作品であった。
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