探している人がすぐそばにいるのに、見つかったことに気付かない。ドイツからトルコ、3組の親子の運命が交錯し、死者の思いを継ぐことで新たな希望を見出していく過程を通じて、愛するものがいる人生のすばらしさを描く。(60点)
探している人がすぐそばにいるのに、見つかったことに気付かない。ドイツからトルコ、バラバラだった3組の親子の運命が交錯しているのに、当事者たちは見えない壁に隔てられているよう。それでも、彼らの心の中には確かな絆が芽生え始めている。思うようにはならない厳しい生活と、突然の暴力で命を奪われた2 人の女。彼女たちの遺族が遺志を継ぐことで新たな希望を見出していく過程を通じて、愛するものがいる人生のすばらしさを描いていく。
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映画を支えているのは名女優ハンナ・シグラの存在感(75点)
シビアな人間ドラマは、偶然を多用するが、それが決して安易なハッピーエンドにつながらないところが深い。ドイツとトルコを舞台に3組の親子の生と死がすれ違う物語だ。映画を支えているのは名女優ハンナ・シグラの存在感。ファティ・アキン監督はトルコ系ドイツ人監督で、派手さはないが繊細な演出が持ち味。父子や母娘の愛情と亀裂がさまざまな悲劇を生むが、それでもどこか希望を感じるから不思議。特にラスト、海を見つめる息子の後姿が素晴らしい。ドイツでのトルコ移民の問題や宗教事情など、日本人には分かりにくい要素もあるが、犠牲と許しが作品のテーマと考えると普遍的な物語に思えるはず。民族音楽も含め、じっくり味わうに価する作品だ。
2007年のカンヌ国際映画祭で大喝采を浴び脚本賞を受賞!(80点)
2005年にアメリカで公開された映画『Head On』という映画がある。トルコ系ドイツ人のファティ・アキン監督がベルリン国際映画祭で金獅子賞を受賞し、注目された彼の4作目の映画だ。そのファティ・アキンが昨年発表した映画がアメリカでも公開された。それは『そして、私たちは愛に帰る(原題:AUF DER ANDEREN SEITE)』という作品で、2007年のカンヌ国際映画祭で脚本を受賞している。
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