◆この映画は「無罪の立証」にほとんど関心を示さない。リザの禁固刑が確定して以降のドラマに焦点を絞ったうえで、愛する妻のために命を張る夫の“執念”に迫った作品だ(80点)
舞台はフランスのパリ。国語教師のジュリアン(ヴァンサン・ランド)と出版社に勤める妻のリザ(ダイアン・クルーガー)は、息子と3人で仲むつまじく暮らしていた。ところが、ある日突然、リザが無実の罪で妻が逮捕されてしまった。無実を証明する策も尽きた3年後、リザには禁固20年の刑が言い渡された。人生に絶望したリザは自暴自棄に陥り……。
◆この映画は「無罪の立証」にほとんど関心を示さない。リザの禁固刑が確定して以降のドラマに焦点を絞ったうえで、愛する妻のために命を張る夫の“執念”に迫った作品だ(80点)
舞台はフランスのパリ。国語教師のジュリアン(ヴァンサン・ランド)と出版社に勤める妻のリザ(ダイアン・クルーガー)は、息子と3人で仲むつまじく暮らしていた。ところが、ある日突然、リザが無実の罪で妻が逮捕されてしまった。無実を証明する策も尽きた3年後、リザには禁固20年の刑が言い渡された。人生に絶望したリザは自暴自棄に陥り……。
◆無実の罪で投獄された妻のため、夫は全てを投げ打って行動に出る。夫婦愛というより、運命に立ち向かう男をリアルに描いたサスペンスの秀作だ(81点)
暗闇の中、人が争う音だけが聞こえてくる。そして、血で濡れた手で車を運転する男。その表情は、もう後戻りできない不安と、突き進んでいくしかないという意思を、見事に物語っている。冒頭から、ただならぬ緊迫感。この場面だけで十分に、「いい映画」の予感がする。それは裏切られなかった。
◆細心の脱獄計画はサスペンスとして楽しめるが、基本はヒューマン・ドラマだ(70点)
無実の妻を救うためすべてを捨てる夫の覚悟が感動を呼ぶヒューマン・ドラマの佳作。平凡ながら幸せに暮らすジュリアンとリザ夫妻。だがある日突然、身に覚えのない殺人罪でリザが逮捕、投獄されてしまう。必死で無罪を主張するが、状況証拠は彼女に不利なものばかりで、3年の時が過ぎる。妻の無実を信じるジュリアンは、絶望し自殺未遂まで図ったリザの姿をみて、ある計画を実行する決意をする…。
◆濡れ衣を着せられた妻を救うために、周到に準備し実行に移す男。それは真面目な教育者としての人生を捨て、犯罪者になる決意だ。国家という強大な権力に個人で立ち向かう主人公の姿は緊迫感がみなぎり一時も予断を許さない。(60点)
濡れ衣を着せられた妻を救うために、周到に準備し実行に移す男。彼のベクトルは冤罪を晴らすための証拠集めや真犯人捜しといった過去に向かうのではなく、刑務所から妻を奪還して再び自由を手に入れようとする未来に向かっている。それは真面目な教育者としての人生を捨て、犯罪者になる決意をすること。国家という強大な権力に個人で立ち向かう主人公の姿は最初は滑稽ですらあるが、やがて経験が勇気と判断力を養い動きに無駄がなくなっていく。その妻を思う一念が彼に力を与え孤独な戦いを支える様子は、緊迫感がみなぎり一時も予断を許さない。
◆真犯人を追求して無実を証明するというありがちなサスペンスドラマではない(80点)
フレッド・カヴァイエの長編監督デビュー作で主演は、フランスの人気役者ヴァンサン・ランドンと『イングロリアス・バスターズ』(09)でドイツ人女優役を好演したことが記憶に新しいダイアン・クルーガー。
◆緩急の利いたフランス版『プリズン・ブレイク』(80点)
無実の殺人容疑で逮捕された妻。裁判では濡れ衣が晴らせないと知った夫は、妻を脱獄させようと周到な計画を練り始め……。あらすじだけ書けば、人気の海外ドラマ『プリズン・ブレイク』のフランス版といった趣だが、この作品、ただの“亜流”には終わらない、見事な人間ドラマになっている。妻のリザに扮したのは『イングロリアス・バスターズ』『ナショナル・トレジャー』のダイアン・クルーガー。夫のジュリアンはフランスの名優、ヴァンサン・ランドンが演じた。