どんなにガキ大将に殴られても、決して涙は見せない。そのくせ昆虫を殺したり弱い子をいじめて憂さ晴らす。そんな少年が感じる世界がリアルに再現され、子供なりに深刻な悩みを持ち、必死に生きるために戦っている姿が健気だ。(40点)
© 2009『いけちゃんとぼく』製作委員会
どんなにガキ大将に殴られても、決して涙は見せない。そのくせいつもやられっぱなしの自分の情けなさに腹を立て、昆虫を殺したり弱い子をいじめて憂さ晴らす。一方でシャンプーするときに目を瞑ると風呂場にお化けが出ると信じていたり、夜中のトイレが怖くてたまらない。そんな小学生の少年が感じる世界がリアルに再現され、子供は子供なりに深刻な悩みを持ち、必死に生きるために戦っている姿がとても健気だ。映画は、父の急死で早く大人になる運命を背負った主人公の成長を優しくみつめる。
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ファンタジックな愛に泣かされる(65点)
© 2009『いけちゃんとぼく』製作委員会
いけちゃんとは何者か?この謎が本作の感動の震源だ。謎が解けたとき、ファンタジックな愛に泣かされる。悪ガキのいじめに屈しない少年よしおのそばには、彼にしか見えない不思議な生き物いけちゃんがいた。幼いながらに現実の痛みを知るよしおは、自分だけの世界を持っている。その異界に入れる唯一の存在、それがいけちゃんだ。いけちゃんの声を担当する蒼井優のおおらかな“演技”が魅力的で、思わず感情移入してしまう。よしおがいけちゃんと別れるときのやるせなさ。そして思いがけない再会の驚き。いけちゃんの告白に、切なさがこみあげた。この物語がラブストーリーだったとは。思い出が最も輝くのは、過去と現在が交錯した瞬間なのだと分かる。見終わると、冒頭に登場するお墓参りのシーンが胸にしみた。