衣装と美しい建築に価値を見出せる人に(75点)
人間社会に生きるものに、完全な自由などない。誰もが大なり小なり宿命を背負っている。だからこそ、人一倍重いそれを背負う人々を尊敬する気持ちが生まれる。
衣装と美しい建築に価値を見出せる人に(75点)
人間社会に生きるものに、完全な自由などない。誰もが大なり小なり宿命を背負っている。だからこそ、人一倍重いそれを背負う人々を尊敬する気持ちが生まれる。
雰囲気は優雅だが人物に魅力が乏しい(55点)
雰囲気は優雅だが人物に魅力が乏しい。18世紀の英国でジョージアナは大貴族デヴォンシャー公爵に嫁ぐが、夫の無関心や不実に悩まされ、自らも不倫に走る。実情は不道徳でも表面上は世間体を取り繕う様がいかにも英国らしい。正妻と愛人が同居し親密に暮らすなど、超党派で結託する節操のない政党のようだ。スキャンダラスな親を見て育つ子供のメンタル面が思わず心配になる。ヒロインは故ダイアナ妃の祖先で、元祖セレブと呼ばれた女性。だが当時の女性は貴族でも、選挙権はおろか自分の財産さえ持てなかった。女の価値は男子の世継ぎを生むことだけという時代の不幸と言うべきだろう。内面の虚しさを際立たせるような華麗な衣装が印象的だった。
女は後継ぎを産むための道具と信じている領主に嫁いだ娘は、自由と平等を口にする進歩的な考えの持ち主。民主主義の萌芽が見え始めた18世紀末イングランド、自らの愛と信念に従ったヒロインを通じて、結婚生活とは何かを問う。(50点)
女は後継ぎを産むための道具、そう信じているような領主に嫁いだ若い娘は、自由と平等を口にする進歩的な考えの持ち主。夫は思想が違う妻と距離を取り、妻は革新的な政治家に惹かれていく。強大な王権が揺らぎ始めた民主主義萌芽期の18世紀末イングランド、自らの愛と信念に従ったヒロインの姿を通じて、結婚生活とは何かを問う。愛よりも打算、思いやりよりあきらめ、胸襟を開くよりは我慢、どんなに冷めた仲でもプライドと世間体がふたりを引き離せない現実。夫の愛人をはさんで長い食卓に着く位置関係が、この夫婦の奇妙で気まずいながらも、形だけは壊すまいとする決意の表れのようで印象深かった。
キーラ・ナイトレイ主演で描くデボンシャー公爵夫人の半生(70点)
キーラ・ナイトレイという女優は一体どこまで進化して行くのか。『パイレーツ・オブ・カリビアン』で一躍有名になり、『プライドと偏見』ではアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、昨年の『つぐない』でもその演技を高く評価された。その彼女が満を持して出演したのが『ある公爵夫人の生涯』という実話を基にしたソウル・ディブ監督の時代劇だ。本作は18世紀に実在したデボンシャー公爵夫人ジョージアナの半生を描く、アマンダ・フォアマンの「Georgiana, Duchess of Devonshire」を映画化した作品だ。