SP 革命編 - 福本次郎

屋外での移動が主だった「野望編」とは対照的に、閉鎖空間で繰り広げられる活劇は息が詰まる緊迫感に満ちている。(点数 40点)


(C)2010 「SP」 プロジェクトチーム

国会議事堂内で武器の携帯を認められているのはSPのみ。出入り業者
に対するチェックはおざなりで、書類の確認だけで簡単に爆発物も持
ち込める。セキュリティの杜撰さはそのままわが国の危機管理の甘さ
を皮肉っているかのようだ。映画は国会の警備の盲点を突いたテロリ
ストたちがごく短時間で内閣全員が出席する議会を支配下に収め、彼
らが唱える“革命”を国民に呼びかける姿を追う。屋外での移動が主
だった「野望編」とは対照的に、閉鎖空間で繰り広げられる活劇は息
が詰まる緊迫感に満ちている。

国会議員の警護についた井上は議事堂内で同僚と待機中、上司の尾形
が数名の武装テロリストを率いて議場を制圧したのを知る。尾形たち
は閣僚の汚職を次々と告発し、その様子のTV中継を要求する。

尾形の目的は首相を殺して恩人の仇を取ることらしいが、“革命”と
大げさな物言いの割には動機が個人的過ぎる。そもそも悪徳政治家た
ちに銃を突きつけて吐き出させた懺悔など国民は納得しまい。こんな
茶番に国民が騙されると思っているのなら、尾形は思い上がっている。

結局、大風呂敷を広げるだけ広げ、張り巡らせた伏線とちりばめた謎
の答えはほとんど出ないまま、「運命の最終章」は終わってしまう。
「自分の頭で考え立ち上がれ」という尾形の言葉は、TVと映画の垣根
を取り払って視聴率と興行収入を上げんとする商魂丸出しのこの作品
を見に来た客に投げかけられているようだった。

福本次郎

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