SOMEWHERE - 福本次郎

多感な年頃の娘に対する父親の自覚がジョニーに心地よい温かさをもたらしていく。(点数 40点)


(C)2010 – Somewhere LLC

同じ道を何度も周回するフェラーリは、出口が見えない彼の現状を象
徴しているよう。俳優として一応の成功を収めた男は、有り余るカネ
と暇で享楽的な生活にどっぷり浸かりつつもどこか「ここは自分の居
場所ではない」と違和感を覚えている。映画は、そんな男が離れてい
た娘との触れ合いを通じて、己が本当に求めていたものは何かに気づ
いていく過程を描く。しかし、連綿たる間延びしたシーンと緊張感に
乏しい演出は、時間の流れをリアルに再現してはいるが、感情の起伏
に乏しく平板な印象は禁じえない。

自堕落な暮らしを送る映画スターのジョニーは、前妻から11歳になる
娘のクレオをあずる。クレオの成長に和ませられたジョニーの心に今
までにない感触が生まれ、新作映画の宣伝にクレオを連れていく。

クレオとのひとときはジョニーにとって新鮮な発見の連続だ。常に周
りが気を使ってくれていた環境で、クレオにだけは気を使わなければ
ならないことがもたらす、他人を思いやる気持ちが残っていた事実へ
の驚き。まだ守ってやらなければならない、でも自立心も芽生えてい
る。多感な年頃の娘に対する父親の自覚がジョニーに心地よい温かさ
をもたらしていく。

ところが、カメラはあえてジョニーの内面に踏み込もうとはせず、不
器用な彼の行動を見守るばかり。そこからはユーモアもペーソスも感
じられなかった。

福本次郎

【おすすめサイト】