ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト - 岡本太陽

ストーンズとスコセッシという異色の組合わせの究極のライブドキュメント(90点)

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 1963年にレコードデビューしたイギリスの伝説的ロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズ。素晴らしいステージパフォーマンスを行う彼らは40年以上もトップアーティストとしての地位を保ち続けている。そんな彼らのドキュメンタリー映画が作られた。しかも監督は『タクシー・ドライバー』『デパーテッド』のマーティン・スコセッシ。ストーンズとスコセッシという異色の組み合わせだけでも非常に興味をそそられる。

 このザ・ローリング・ストーンズのドキュメンタリー映画の舞台はニューヨークのビーコンシアターという1928年にオープンした元ブロードウェイの劇場だ。2006年秋にここでザ・ローリング・ストーンズのライブが行われたのだが、マーティン・スコセッシはこのライブの模様と昔のストーンズの映像を交え、ロックンロールライブの究極のドキュメンタリー映画を作り上げた。

 ザ・ローリング・ストーンズのメンバーはそのライブ当時、1人を除いて全員が60歳を越えていた。しかし、40年以上も第一線で活躍しているだけあり、客席の年齢層が幅広い。1階の前の方はやはり若者が陣取っており、ヒョロヒョロしたしわだらけのおじいさん達に若い女の子達が熱狂している映像は一見の価値あり。ただ、このライブはシアターの収容人数が2800人でストーンズにしては大きい会場ではない。ライブは2夜行われたのだが、1階と2階はゲストや関係者専用で、3階が一般の客が入っている様に感じられた。ニューヨークという街でそんな小さな会場では一般の客がチケットを獲得するのは非常に困難だろう。

 先程も述べたがザ・ローリング・ストーンズは高齢。そんな彼らにとってロックのライブパフォーマンスで何時間もぶっとうしで演奏して歌うには相当な体力と精神力を要するはず。それでもミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロン・ウッドは疲れすら見せないが、メンバーの中で一番高齢のドラマーのチャーリー・ワッツは演奏の後に「ふぅ?、疲れた?」という表情を見せる。彼に還暦を迎えた男性のリアルな姿を見ることが出来るだろう。チャーリー・ワッツは非常にチャーミングなキャラクターだ。

 このドキュメンタリー映画ではザ・ローリング・ストーンズの2006年の現状と対比するかの様に、デビュー当時の若々しい映像等が登場する。ミック・ジャガーの唇がアンジェリーナ・ジョリーのそれの様にプリプリなのが印象的だ。また麻薬所持で逮捕された時の映像や、日本に来日した時の映像等も出て来てクスッと笑わせてくれる。

 また、このビーコンシアターでのライブで話題になっていたのがストーンズと一緒に出演するゲスト達。一番最初に登場するのはホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト。彼はミック・ジャガーと「Loving Cup」を歌う。また、メンバーが敬愛するシカゴブルースの巨匠マディ・ウォーターの曲「Champagne & Reefer」をブルースのギタリストでシンガーのバディ・ガイが、そしてクリスティーナ・アギュレラはミックと共に「Live With Me」のパフォーマンスを披露している。クリスティーナ・アギュレラとミック・ジャガーのパフォーマンスは興味深かった。おじいさんと孫くらい歳離れている2人が腰をくっつけて踊っている姿は超非現実的だ。

 映画の本編にはこのビーコンシアターでのライブが始まる前の映像も含まれているのだが、そこでのパフォーマーと監督の温度差が非常に可笑しい。ザ・ローリング・ストーンズのメンバー達はわりとリラックスしているのだが、監督であるマーティン・スコセッシは興奮からかちょっとピリピリしているのだ。それから会場にクリントン米元大統領やヒラリー上院議員も訪れており、ストーンズのメンバーと親交があるのか、彼らもライブ前にメンバーと写真撮影をしていた。また、客席を観察するのも面白い。一般の客に交じってベニチオ・デル・トロ等のスターをチラッと見る事が出来る。

 この映画『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』はストーンズとスコセッシのコラボレーションという事が非常に話題なのだが、撮影を行っているカメラマンがまた凄いのだ。カメラマンはスコセッシの他に9人ものカメラマンがこのライブの為に集ったのだが、そのそれぞれがアカデミー賞を獲得したかノミネートされているのだ。よって映像に関してもただのライブビデオとは格が違う。『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』はまさに神話。これは素晴らしい撮影陣と、パフォーマーの生み出す究極の音楽が融合し、2時間2分というドキュメンタリー映画にしては少々長めな上映時間だが、何時間でも観続けていたいと思わされる特別な作品だ。

岡本太陽

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