ブランドンの苦悩がしっかりと浮き彫りにされており、シシーとの感情の衝突といった印象深いシーンを作り出すことに成功している。(点数 70点)
タイガー・ウッズの不倫騒動で一躍世間に浸透した性依存症。マイケル・ダグラスやビリー・ボブ・ソーントン、クリントン大統領ら有名人もこの病の治療を受けたことを公表している。そんな性依存症を題材にした問題作。監督は、イギリスの新鋭で本作が長編二作目となるスティーヴ・マックィーン。
主人公ブランドン(マイケル・ファスベンダー)は勤務先での仕事の出来具合も良く、高級マンションで暮らし、ルックスもバツグンで女にモテる。その反面、帰宅すればPCでアダルト動画を閲覧するわ、浴室や会社のトイレで自慰行為にふけり、行きずりの女や風俗嬢とセックスに明け暮れる立派な性依存症患者。でも、同僚の女性とは心を通じ合わせることができない男。そんな彼のもとに恋愛依存症で自傷癖のある妹シシー(キャリー・マリガン)が転がり込み、性にまみれた生活を乱され、依存している自分自身に葛藤する。
R18+に指定されているだけにファスベンダーの陰部、随所に観られる性行為シーンや自慰行為シーンといったきわどいシーンが目に焼きつくし、当然の如くこれらに興味をそそられて鑑賞する方もいらっしゃることだろう。
それよりも、ブランドンの苦悩がしっかりと浮き彫りにされており、シシーとの感情の衝突といった印象深いシーンを作り出すことに成功しているため、そういったシーンこそしっかりと注目して頂きたい。
有効な治療法が遅滞している我が国日本。日本でもブランドンと同じように苦しんでいる方がいらっしゃるはず。精神科医や心理学関係者は本作を鑑賞し、日本の性依存症患者治療のために行動してもらわなければ…。
(佐々木貴之)